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そう思って、気が緩んでいたせいだろう。
「あのさ…俺がこんなこと訊くのも変かもしれないけど」
「ん？ 何？」
なんの躊躇いもなく、私は無防備に甲斐君の台詞の続きを促していた。
「お前さ、あの時なんでブッキーを助けたんだ？」
「なんでって…先生が怪我したら困るから？」
甲斐君に何を訊かれているのかよく分からなくて、私は思ったことをそのまま言う。
「でも、前は助けないで通り過ぎてただろ」
「…あ」
質問の意図がようやく分かった。
先生と最初に会った日、確かに私は蹴られる先生を見て見ぬふりをして通り過ぎた。
そして先生を蹴っていたのは甲斐君だ。
私が先生を無視したのを、あの時甲斐君は見ていたはずだった。
なんで先生を助けたのか。
「好きだから」という答えが即座に出てきたものだから、困った。
「…それは、えと、先生と過ごしてるうちに、気が変わったっていうか」
言いながら顔が熱を持っていく。
数秒前に「ん？ 何？」とか考えなしに促した阿呆な自分を殴りたい。
だって好きな人が目の前で頭から血を流してたら助けようと思うに決まってる、なんて言えるはずもなくて。
「だから、なんていうか、先生のおかげっていうか、うん」
もはや自分が何を言っているのかよく分からない。
どんどん顔が火照っていく気がする。
「……」
「……」
なんだ、この沈黙は。
しばらくしたあと、甲斐君はため息をつきながら言った。
「お前、分かりやすすぎだろ」
「…甲斐君には言われたくなかった」
「あ？」
「なんでもないです」
そして1日は終わった。
今日は課題もなかったし平和だったな。
私は毛布にくるまりながら、さくらの隣で目を閉じた。
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理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！応援してます！！ (2022年8月16日 0時) (
レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
7star(プロフ) - 初めまして！読み進めるほどドキドキして胸がギュッと締め付けられます。作者様のペースで更新されるのを楽しみに待ってます！ (2020年7月15日 21時) (レス) id: f3e580ba40 (このIDを非表示/違反報告)
まろん(プロフ) - 読んでて切なくてきゅんきゅんしてます！何度も何度も読み返してます！更新楽しみにしています！頑張って下さい、応援しています！ (2019年6月2日 14時) (レス) id: 2af5865e58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな×りお | 作成日時：2019年5月11日 0時
