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「起立。

俺の授業を始める。礼。

着席」

いつもの号令が掛かり、今日の1日が始まる。


「これから、信じる信じないゲームを、始めよーう」

拳を上げて、満面の笑みを浮かべる先生。

「とうとうイカれちまったか?」

教室に笑いが広がった。

馬鹿にするような笑い方ではなくて、むしろ先生に好意的な雰囲気が漂っている。

「なんですかそれ」

さくらの問い掛けに、先生はみんなを見渡して応える。

「信じろ」

先生は眼鏡を外す。

「信じるな」

首を傾げる私達に、先生は言葉を付け加える。

「眼鏡を掛けている時は信じろ。
外した時は、信じるな。
分かったな?」



そして1日はおおむね平和に過ぎていった。

先生の言われた通りに並んで写真を撮り、ご飯にはカレーが配られた。
久々のご馳走に、みんなのテンションが上がる。

「さくら一緒に食べよー」と宇佐美さんが手招きしている。

「あれ、さくらと宇佐美さんいつ仲良くなったの?」

私が首を傾げると、

「なんかデジャウ…」

と笑って、宇佐美さんは手を差し出してきた。

「香帆でいいよ。よろしく」

「よ、よろしく」

さらっとこういうことが出来るあたり、やっぱりクラスの人気者なんだなぁ。

そう思いながら、差し出された手を握る。
隣ではさくらが自分のことのように、嬉しそうな顔でにこにこしていた。

「じゃ、Aも食べよ」

そう言って、宇佐美さん…じゃなかった、香帆は机を動かし始める。
さくらと香帆と、香帆の友達と5人、机をくっつけた。

「こっちの2人は魚住華、河合未来。
華と未来でいーよ」

「えと、蒼井Aです。よろしく」

さくさくと自己紹介みたいなものが終わって、みんなでカレーを口に運ぶ。

「おいしー」

「ね、おにぎりとパンばっかだったからなんか新鮮」

私もスプーンでカレーをすくって食べる。
確かにおいしいけど、舌がちょっぴりヒリヒリする。
緑茶を飲んで、舌の熱さを抑えた。

「おいしいけど…ちょっと辛いかも」

「あ、そっか。A辛いの苦手だもんね」

さくらが思い出したように頷く。

まあ普通においしく食べれるし大丈夫だけどね、と言おうとした時、

「牛乳入れたらいいんじゃねえの?」

上から声が降ってきた。

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理音(プロフ) - 続き気になります!更新楽しみにしています!応援してます!! (2022年8月16日 0時) (レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
7star(プロフ) - 初めまして!読み進めるほどドキドキして胸がギュッと締め付けられます。作者様のペースで更新されるのを楽しみに待ってます! (2020年7月15日 21時) (レス) id: f3e580ba40 (このIDを非表示/違反報告)
まろん(プロフ) - 読んでて切なくてきゅんきゅんしてます!何度も何度も読み返してます!更新楽しみにしています!頑張って下さい、応援しています! (2019年6月2日 14時) (レス) id: 2af5865e58 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな×りお | 作成日時:2019年5月11日 0時

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