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黒板前に、生徒一同がずらりと並ぶ。
対峙するように、先生は正面の椅子に腰掛けた。

【壮観だな】

先生はみんなを見渡す。

【言ったよな。次何かやったらペナルティだって

君達の上には、爆弾がある】

怯えて逃げようとする生徒を、

【動くな!!】

先生は一喝して動きを止めた。

【ちょっと待って!私達関係ないし】
【そうだよ、やったの男子ですよ?!】
【俺も関係ない】
【こいつらがいけないんだよ】

こんな状況でもまだ、内輪揉め、責任のなすりつけ合いはなくならない。

「はいはい静粛に」と先生が手を叩いても、
ざわめきは収まらない。

【お前ら聞けよおらぁ!】

先生が机を投げてようやく静かになった。

【これは、連帯責任だ】

究極的な言葉だなと思った。
それを言われたら、言い返す言葉がない。

【さあ、死んでもらおうか】

【どうせハッタリだろ?】

挑戦的な顔で、甲斐君が先生を見る。

【さっきの爆破だって、わざと誰もいないところ狙っんだろ?

お前は俺達を殺せない】

おそらくそれは間違ってない。
1日目の時も、誰も爆発で傷ついていない。

でも、今それに気づいたら駄目だ。

ここで爆弾という抑止力がなくなれば、
先生の目的は達成されないだろう。

その目的が何かは分からないけれど、
それはきっと、良くないことだ。

【じゃあ試してみるか?

お前がそっから1歩でも動いたら、ボタンを押す】

【……】

【どうした? 来いよ。
ハッタリだと思うなら、リモコン取り返しに来いよ】

煽られて、甲斐君の顔が怒りに歪む。

【…上等だ】
【名乗り出ればいいんでしょ!?】

甲斐君を押しとどめ、諏訪さんが1歩前に出た。

【フェイク動画の投稿者が自白すれば、私達は助かるんだよね?】

【そうなるね】

【分かってんでしょ!?
みんなが助かるには、あんたが名乗り出るしかないんだよ!!】

諏訪さんの言葉は、明らかに宇佐美さんに向けられたものだった。

【誰か分からないけど、お願いだから助けてよ!】

【もうあんな投稿気にしないから…
こんなところで死にたくない】

【早く言えよ!】

みんなの言葉が、やり逃げXを
ーー宇佐美さんを追い詰めていく。

宇佐美さんは肩で息をしながら、苦しそうな、辛そうな顔をしていた。
そして、

【私です!】

声を上げたのはさくらだった。

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さな×りお(プロフ) - 雨傘 空さん» 勿体ないお言葉…!ありがとうございます!!とっても励みになります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
雨傘 空(プロフ) - 文章表現がとても好きです……!いつも更新たのしみにしています。作者さんの無理のないペースで、これからも応援しています! (2019年4月13日 8時) (レス) id: 04590a81f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな×りお | 作成日時:2019年4月7日 13時

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