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【さあそろそろ時間だぞー】
ガラガラと扉を開けて先生が教室に入ってくるのを、私はモニター越しに見つめていた。
【先生、Aは？】
さくらが不安げに尋ねる。
【蒼井は怪我したからなぁ、今日の授業は見学にした】
先生は甲斐君に目をやる。
甲斐君はむすっとした表情で顔を逸らした。
【ああでも、怪我と言っても捻挫だったからな。
明日からはみんなと一緒に授業を受けてもらう】
…気のせいかな、甲斐君がほっとした顔をした、ように見えた。
【さあやり逃げXさん、名乗り出る気になったかぁ？】
手を挙げる人はいない。
【しょうがないなぁ、じゃあ…
誰かに裁きを受けてもらうか。
だーれーにーしーよーおー】
遮るように、携帯が鳴り響いた。
【あ、悪い悪い。携帯の電源を切るの忘れてた】
そう言いながら先生はスマホを取り出し、
動きを止めた。
その姿は何かに動揺しているみたいだった。
【…もしもし】
何を言われたのか、先生は窓に歩み寄る。
【なんで警察が文香の携帯を】
文香。
女の人の名前。
たった2文字が、耳に引っ付いて離れない。
心を薄暗い靄が覆う。
【彼女と話したのか？ 何を話した】
動揺する先生は、窓の外に釘付けになっている。
それを見て甲斐君達が目配せした。
にじり寄る甲斐君達に、先生は気づかない。
「先生逃げて！」
立ち上がろうとすると足に痛みが走った。
思わず蹲ってしまう。
【答えろ！ 文香に、】
甲斐君達が一斉に先生に掴み掛かった。
【リモコン取れ！】
【取ったぞ！！】
先生から爆弾という脅迫手段がなくなった。
甲斐君が先生に跨り襟首を掴む。
【今まで随分遊んでくれたな】
そう言って2発、3発と先生を殴る。
眼鏡が吹っ飛び、鼻から血を流しながら、
――先生は笑った。
甲斐君が慄いて目を見開く。
【何笑ってんだよ。頭おかしくなっちまっ】
ドゴォォオオ！！
掃除用ロッカーが爆発した。
【…なんだよ今の！】
【俺じゃねえよ！】
混乱する甲斐君の腹を肘で殴り、先生が起き上がる。
【俺がお前らの動きを見て、警戒しなかったと思うか？】
ダン、と先生は机に足を乗せ、裾を捲った。
足首に時計が巻きついていた。
「あ」と思わず声を上げた。
あの時先生は、リモコンを付け替えていたのか。
【こっちが本物。そっちはただの時計だよ】
【そんな…】
【さあ形勢逆転だ。
お前ら全員黒板の前に並べ】
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さな×りお(プロフ) - 雨傘 空さん» 勿体ないお言葉…！ありがとうございます!!とっても励みになります！ (2019年4月13日 12時) (
レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
雨傘 空(プロフ) - 文章表現がとても好きです……！いつも更新たのしみにしています。作者さんの無理のないペースで、これからも応援しています！ (2019年4月13日 8時) (レス) id: 04590a81f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな×りお | 作成日時：2019年4月7日 13時
