2-21 ページ21
【私がやりました】
【…お前があの投稿を送ったのか】
【はい】
【景山死ね。
景山が苦しんでる姿を見ると興奮する。
景山笑うな、キモい。
あの女をめちゃめちゃにしてやりたい。
景山なんて生まれて来なければ】
【私だって言ってるんだからもういいでしょ!?】
誰の目から見ても、さくらがやり逃げXじゃないのは明らかだった。
【パスワードは?】
【…え?】
【SNSに登録したパスワードだよ。
お前が投稿者本人だって言うなら知ってるはずだろ?】
【それは…】
そんなさくらの様子に、何かを諦めたように宇佐美さんの目が伏せられ、
【ばっかみたい】
さくらを見据えた。
【なんでそんな嘘つくの?
みんなを助けるため?
そのために、自分が犠牲になろうって?
…笑わせんなよ】
【宇佐美さん…】
【私だよ】
宇佐美さんは黒板前の机に両手をつく。
【私がやり逃げXでーす。
パスワードはKAHO11815】
先生がパスワードを入力し、スマホ画面を見せる。
【ピンポーン! アクセス成功だ。
よかったな。
今日君達の中から、死人は出ない】
先生の拍手する音が教室に響く。
誰も反応しない。
どう見ても「よかった」という雰囲気ではなかった。
【どうして…?】
【どうして?
あんたのせいでしょ?】
宇佐美さんはさくらを睨むと、堰を切ったように話し出した。
【澪奈の友達は私だけだった。
なのにあんたが!
なんでよりによって、奴 隷呼ばわりされてるあんたなの?
完全にあたしへの当てつけじゃん!】
今まで溜め込んできた不満を吐き出していく。
【プライドずたずたにされて、
言いようのない怒りが湧いて、
許せなかった。
だからあいつの後を付け回して、
あいつの物を壊して、
あいつを追い詰めた】
【…どうしてそんなことしたの?
澪奈はあなたのこと、】
【うっさい!】
宇佐美さんはさくらを拒絶した。
【あんたは黙ってて!】
【文句があるなら私に言えばよかったじゃん! 私に近づくなって言えばよかったじゃん!】
【言ったら離れてくれたの?】
【離れたよ】
【嘘つくなよ!】
【嘘じゃない!!
…離れたよ。
澪奈が生きててくれるなら、離れたよ】
宇佐美さんはさくらから目を逸らした。
その目には涙が光っていた。
151人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さな×りお(プロフ) - 雨傘 空さん» 勿体ないお言葉…!ありがとうございます!!とっても励みになります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
雨傘 空(プロフ) - 文章表現がとても好きです……!いつも更新たのしみにしています。作者さんの無理のないペースで、これからも応援しています! (2019年4月13日 8時) (レス) id: 04590a81f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さな×りお | 作成日時:2019年4月7日 13時