兄の先輩 (水溜りボンド・トミー) (ページ45)

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45.トミーさんの誕生日ページ45

お兄ちゃんがお部屋に来た。

「Aー。あけるよ？」

私が返事をする前に扉を開けるお兄ちゃん。

『私まだあけていいって言ってない！』

私は涙を拭いて、お兄ちゃんに乱暴に言った。

八つ当たりだ。

私って最低だな...。

「プレゼント買ったの？」

『うん。』

「渡したの？」

『ううん。』

「渡さないの？」

『...』

チラッと、ゴミ箱に捨てられたプレゼントを見るお兄ちゃん。

「そういえば、A、浴衣買ったの？」

急にコロッと話を変えたお兄ちゃん。

『...？買ってない...。』

「そっか♪」

何故か嬉しそうなお兄ちゃん。

『なんで人の泣き顔見て笑ってるの。お兄ちゃん悪趣味。顔洗ってくる。』

私は洗面所へ向かい泣き顔を洗い流した。

『ふぅ...。』

私は洗面所の鏡をみて、

『...やっぱりブサイク。』

そうまた呟いた。

私は結局、プレゼントを渡さないまま、

プレゼントを渡せないどころか、

おめでとうすら言えなかった。

いつもお部屋のゴミをお兄ちゃんが回収しに来てくれてて、

翌日になれば、ゴミ箱にプレゼントはなくなっていた。

空になったゴミ箱を見つめて、

後悔してない。

なんて嘘だ。

後悔しまくっている。

プレゼント渡したかったな...。

どうせ渡せないなら、

浴衣買えばよかったかな...。

なんか花火大会に行くのも億劫になっていた。