罰 ページ7
そもそも風邪で機嫌を損ねている三成が食してくれること自体怪しい。
しかし目の前の二人が真剣に悩んでいるのを見ていると、そんな現実を突きつけるのも酷だと思ったのか、吉継も少し考えてみることにした。
「……割粥ならばあるいは」
「割粥、ですか？」
「三成様は普通のお粥よりそっちが好きなんっスか？」
「いや、好みかどうかは分からぬがもしかしたら食すやもしれん。本来であれば米を臼で砕くのだが、包丁で砕くと良かろう」
「あ、それくらいなら出来＿＿」
一瞬表情が明るくなったAだったが、すぐに顔が青ざめる。それは隣にいた左近も同じ。
「(待って、それ良く考えたら結構時間かからないか！？)」
臼であれば潰すのは容易い。
しかし包丁でそれをやるとなれば相当な時間を消費してしまうだろう。
「ヒヒッ、貴重な兵糧を無駄にした罰よ」
「あ、逃げた！ちょっと刑部さーん！」
左近が叫ぶも虚しく、吉継の姿はいつの間にか消えていた。
「……流石に包丁でちまちま砕くのは日が暮れるって。ねぇAさん？」
振り向いた先のAは何かに怯えたような顔をして頭を抱えた。
「む……無駄にしてしまったのは事実なので……」
「嘘でしょやるんっスか！？」
どうやら大事な兵糧を無駄にした罪悪感には逆らえなかったようだ。
「やっているうちに包丁に慣れるかもしれませんし……」
「……まあ、やるなら最後まで付き合うけどさぁ」
そして二人は吉継の罰を甘んじて受けることに。
一方台所を去った吉継は深く溜息を吐いて空を見上げた。
「(果たして彼奴があの時のことを覚えておれば良いのだが)」
それは随分昔のことかもしれないし、つい最近だったような気もする。
今Aたちがちまちまと包丁で米を砕いている光景に既視感を覚えた。
「ヤレ、我にしてはらしくないことをした」
三成は不幸を呼び寄せる男。
誰しもが凶と恐れる男。
そんな男を、彼らは慕うか。
そして自分は、その後押しをしてしまったのか。
「幸など我は好まぬが、まあ此度は見守るとしよう」
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黒薔薇の奏者(プロフ) - 三楓さん» 楽しみに待たせていただきます！ (2020年3月23日 6時) (
レス) id: a44cb40253 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 黒薔薇の奏者さん» 私の作品を好きになっていただきありがとうございます！これからも出来る限りではありますが執筆したいと思うのでどうぞよろしくお願いしますヽ(*´∀｀)ノ (2020年3月22日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 彩ハムさん» 完結まで見ていただきありがとうございました！新作は近いうちにまた書きたいなと思っていますが、気長に待っていただければ幸いです(*´∀｀*) (2020年3月22日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇の奏者(プロフ) - いろいろな作品を読ませていただいました。三楓さんの作品がとても好きです。ドキドキが止まりません。（語彙力がなくてすみません…）応援しています！ (2020年3月22日 20時) (レス) id: a44cb40253 (このIDを非表示/違反報告)
彩ハム(プロフ) - わぁぁ！完結お疲れ様です！もう本当に更新される度に瞬時にきましたw新作……！楽しみに待ってます(*´ｰ`*) (2020年3月22日 3時) (レス) id: a7920f32a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三楓 | 作成日時：2020年3月13日 1時
