第一・五章『凶王、床に伏せる』 ページ2
《リクエストで三成様と主人公ちゃんのお話です》
それは、豊臣と徳川が同盟を結び、天下統一の歯車をかけていた頃。
豊臣の女中として大坂城にいたAは今日という日に違和感を覚えていた。
何に違和感を抱いているのかははっきりしないが、とにかく胸の奥がモヤモヤして仕方ない。
普段通りの日常なのに、何か足りない。
いつもあるはずのものが、無い。
それは物なのか、人なのか……。
しばらく考え込んで庭の掃除に勤しんでいると、ふと稽古場が視界に入った。
屋敷から少し離れた場所に建てられた稽古場は珍しく静まり返っていた。
「(おかしいな。いつもならこの時間帯に……)」
稽古場へ足を進めて、扉の隙間から中を覗く。
中は無人。
この時間帯であれば必ず稽古をしている人の姿が無かった。
「お、Aさん。こんなところで何してんっスか？」
Aに声をかけたのはつい先日豊臣軍に仕官した島左近だ。
「左近君！……いや、大したことではないんですが、いつもならこの時間帯に稽古している三成さんの姿が無いな、と」
「あー、三成様ね……」
左近は苦笑いをしてAにそっと耳打ちをした。
その内容を聞いたAは思わず左近を二度見する。
「三成さんが風邪を引いた！？」
「まあ……うん。逆に今まで体調崩さなかった方が奇跡っつーかなんつーか……」
「ああ……」
その言葉に納得してしまうほど心当たりがあった。
石田三成という男は良くも悪くも自分に厳しい男。
豊臣の為ならば己の命さえ惜しくないと、最低限の生命維持活動を行っている。
つまるところ、常日頃の睡眠不足や栄養失調、加えて過労が祟ったのだろう。
「あの人も人の子だった、と言うことですね」
「Aさんは今まで三成様を何だと思ってたんっスか」
「石田三成という人間の皮を被った生霊。彼は仕事人間という域を超えていますから」
「言い返せないのが辛い」
「……で、三成さんは今大人しく寝ているんですか？」
Aがそう尋ねると、左近はあからさまに目を逸らした。
「……ですよね」
「いや、言い訳だけさせて。俺も刑部さんもちゃんと休むよう言ったけどまッッたく聞く耳持たないし、完全にお手上げ状態って感じ」
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黒薔薇の奏者(プロフ) - 三楓さん» 楽しみに待たせていただきます！ (2020年3月23日 6時) (
レス) id: a44cb40253 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 黒薔薇の奏者さん» 私の作品を好きになっていただきありがとうございます！これからも出来る限りではありますが執筆したいと思うのでどうぞよろしくお願いしますヽ(*´∀｀)ノ (2020年3月22日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 彩ハムさん» 完結まで見ていただきありがとうございました！新作は近いうちにまた書きたいなと思っていますが、気長に待っていただければ幸いです(*´∀｀*) (2020年3月22日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇の奏者(プロフ) - いろいろな作品を読ませていただいました。三楓さんの作品がとても好きです。ドキドキが止まりません。（語彙力がなくてすみません…）応援しています！ (2020年3月22日 20時) (レス) id: a44cb40253 (このIDを非表示/違反報告)
彩ハム(プロフ) - わぁぁ！完結お疲れ様です！もう本当に更新される度に瞬時にきましたw新作……！楽しみに待ってます(*´ｰ`*) (2020年3月22日 3時) (レス) id: a7920f32a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三楓 | 作成日時：2020年3月13日 1時
