佐和山城防衛戦 ページ30
場所は変わって近江・佐和山城。
織田が攻めてくるとなって大坂以上に城内は慌ただしい。
しかし城主である三成はとある一室で静かに援軍の到着を待っていた。
「三成様、援軍が到着しました」
甲冑を身にまとった兵士が三成の前で跪く。
「入場を許可する。統率者をここに連れて来い」
「はっ」
兵が去った後、三成は半兵衛の迅速な対応に感服していた。
ここで食い止めなければ次の標的は秀吉がいる大坂になってしまう。
そればかりはなんとしてでも避けたい。
しばらくして援軍を率いて来た者と対面する。
「此度の援軍、感謝す……」
挨拶に来た者を見て、三成は固まる。
事前に援軍を率いてくるのは家康だと聞いていたが、明らかに目の前にいるのはAだ。
最近会っていなかったせいでとうとう幻覚まで見えてしまうようになったのか。
にしても家康をAと見間違えるなんてもはや病気の域だろう。
「……どうやら私は疲労困憊しているようだ。貴様がAに見える」
「何言ってるんですか。私はAですよ」
いつもの小袖ではなく陣羽織を羽織って腰に短刀を携えたAは苦笑する。
本当にAであることを知ると、三成は目頭を押さえながら溜息を吐いた。
「何故いる」
「家康に頼まれたんですよ。代わりに援軍を率いて近江へ向かってくれって。ん?今の私は女中じゃないからこの喋り方は不自然ですかね?」
「そんなことはどうでもいい。肝心の家康は何をしている」
「安土城行くって言ってました」
「は?半兵衛様はご存知なのか!?」
「秀吉様が知ってるんで半兵衛様も知ってるんじゃないですかね?」
「援軍をAに預けた挙句、敵の中枢である安土城に一人で向かったというのか。奴は一体何を考えている」
恨み言を吐く三成を見て、Aはばつ悪そうにそっと眉根を下げる。
「……すみません。私じゃ心もとないですよね」
「違っ、別にそういうことを言っているわけでは……!」
訂正しようと慌てふためく三成を見て、ふっと口元を歪める。
「家康も考えあっての行動だと思います。とにかく今は織田の奇襲に備えましょう。あと、忘れているかもしれませんけど、私の本職は
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作者名:三楓 | 作成日時:2019年10月28日 22時