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未練 ページ27

婚約破棄されたことを哀れむ左近とAに許嫁がいたことに納得がいかない三成。
その様子を保護者のように見守る吉継。

色々誤解を含んだままでは埒が明かないとAは少し強めの口調でこう言った。


「今はお互い好い人がいますし、婚約破棄で正解だったんです。はいこの話は終わり」


きっぱりと言い放つと、その場がしんっと静まり返る。
三人はAをきょとんとした目で見つめていた。


「な、なんですか。私なんか変なこと言いました?」

お互い(・・・)?」


三成の些細な指摘のあと一間空白が空いてAは羞恥に顔を火照らせる。
誤解を解くつもりが更に誤解を生んだと気がついても既に手遅れ。


「あっ、いや、今のは言葉のあやというか」


予期せぬ事態が起きれば誰だって多少なりとも動揺する。
Aは三成と視線を合わせることが出来ず、手の甲で口元を隠してそそくさと炬燵から抜け出した。


「とにかく、また必要なら呼んでください。出来る限りのことはします」


平然を装って吉継の部屋を出ていくがどうしても動揺が滲み出てしまっていたようで、同じく炬燵に入っていた左近に勘づかれてしまう。


「へぇー、ふうん、なるほどねぇ」


左近がにやついているとは対照的に、心無しか段々三成の顔が険しくなってくる。


「あのAの様子……妙だな」


流石の三成も気がついたようだ。
これは色々面白いことになりそうだと左近は胸を躍らせる。


「ああ言っておきながら本当は柴田勝家という男に未練があるに違いない」

「(やべぇ、気がつくどころか盛大に勘違いしてる)」


言うまでもなくお決まりの展開である。
更に三成は続ける。


「その男に未練があるから織田を殲滅できない。ならばいっそ殺してしまった方がAのためと思わないか?反論は聞かない」

「まあそう投げやりになるな。いずれにせよ重要視せねばならぬ人物には違いない。それともう一人、天海と言ったか。その男の動きにも十分に目を光らせておかねばなァ」

些細な約束→←許嫁



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作者名:三楓 | 作成日時:2019年10月28日 22時

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