消えた輝き ページ9
布を渡されたAは、訳も分からず三成の方を向いて「使っていいんですか?」と尋ねた。
「好きに使え。貴様が生贄でもなく、狗でもなく、人でありたいのならばな」
ふんっと鼻を鳴らし、三成は屋敷の奥へと消えていく。
少し間を置いて、周囲に誰もいないことを確認したAは付けていた面布を取った。
布越しではないはっきりとした世界は、夜でも目が潰れるほど眩しい。
その瞼が完全に開くことの無いまま、新しい布で顔を隠した。
「……人でありたいのなら、か」
ゴクウでもない。狗でもない。
自分は人として生きたいだけ。
人として生きるために、どんな手を使ってでも宝物を手に入れたかった。
唇を噛み締める。
Aの視界に、布越しの見慣れた世界が広がった。
それは狭く、見えにくく、とても孤独な世界。
生きたいと願う少女の声は、村人からすれば耳元で聞こえる虫の羽音だった。
この先の豊作と天秤にかければ、彼女の命は一過性のものに過ぎない。
村人は誰も助けてくれない。
誰も彼女に生きることを許してくれない。
生きるためには、自らの意思で逃げるしか無かった。
目の前に広がる絹糸たちが、月光で美しく光り輝いている。
私もひとつの輝きとなれるだろうかと、希望を抱いて、自分自身を嘲笑した。
「いや……私に希望なんて」
憂うAに、部屋の用意ができたと女中が声をかける。
今はただ一つの目的のために生きればいいと、思考にピリオドを打って、Aは用意された部屋へ向かった。
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三楓(プロフ) - ななさん» コメありがとうございます!お褒め頂き光栄です。続編も閲覧していただければ幸いですヽ(*´∀`)ノ (2019年6月16日 13時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - とっても面白かったです!次も楽しみにしてます!!(o^^o) (2019年6月14日 22時) (レス) id: 404dff81b9 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ヒャッハー(゚ω゚)さん» コメありがとうございます!更に楽しんでいただけるよう頑張ります(*´∀`*) (2019年6月7日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ヒャッハー(゚ω゚) - いつも見てます(^^) 配信楽しみです (2019年6月7日 7時) (レス) id: c172e98498 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» お久しぶりです!コメントありがとうございますヽ(*´∀`)ノ更新できる時はなるべく更新したいと思いますので、またよろしくお願いします! (2019年5月26日 13時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2019年5月26日 13時