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面布 ページ8

三成はAの言っている意味が理解出来なかった。

面布は彼女の視界を遮っている。
そんなもの、無い方がよっぽどよく見えるはずだろう。

「変な話だと思いますか?面が無いとよく見えないだなんて」

「ああ……」

「私が住んでいた村に、“ゴクウ”という豊作の儀式がありましてね。言ってしまえば生贄です」

Aは僅かに顔を俯かせて話を続ける。

「当然ながら、選ばれた者はその村のために命を捧げなくてはなりません。ですが私は生きたいがために反抗しました。私が逃げ出した村がその後どうなったかは知りませんけど」

相変わらず無責任な態度。
村に住まう者達からすればAは大罪人なのだろう。

「逃げている途中に出会ったのが宝物の番人です。私は面を付けられ呪いをかけられました。面を剥がせば視界が眩んで見えなくなるようにされたんです」

「なるほど。だから視界か」

「はい。早くこんなもの取りたいんですけどね」

Aは苦笑いをして『狗』の字が書かれた面布を指差す。

「顔を隠している理由は分かった。だがその『狗』という字はどういう意味だ?」

「これが呪いの字です。古より受け継がれた儀式を破った不届き者と、人でも供物でもなくなったお前は畜生と同じ扱いを受けるだろうと、嫌なお告げも頂きました」

今やそれも逆の立場ですが、とAは鼻を鳴らした。

自らの命を惜しんだだけで批判された怒りはどれほどのものだったのだろう。

番人が守っていた宝物の存在を知るなり、彼女が閉鎖集落で語り継がれていた話を日ノ本に噂としてバラまいたのも、ただ宝物が欲しいだけではなく、こうした私怨が混ざっているのかもしれない。

「ご理解頂けましたか?」

「あぁ。だがその面は未だ不快に思う」

「そう思われても仕方ないと思います。ですが御容赦を。この面が無ければ私は」

「全くもって目障りだ。畜生と同等の扱いを受けるだと?村を裏切ってまで己の命を惜しんだ奴が今更言われることか?それをおめおめと受け入れ、腹の中では私怨を募らせる貴様が腹立たしい。それではまるで……」

心当たりがある人物を思い出して、三成は強く唇を噛んだ。

「裏切り者は裏切り者らしくいろ」

三成は従者を呼び、生地が薄い布は無いかと聞き出す。

そして従者が持ってきた白い布を、Aへ渡すよう命じた。

消えた輝き→←狗女



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三楓(プロフ) - ななさん» コメありがとうございます!お褒め頂き光栄です。続編も閲覧していただければ幸いですヽ(*´∀`)ノ (2019年6月16日 13時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - とっても面白かったです!次も楽しみにしてます!!(o^^o) (2019年6月14日 22時) (レス) id: 404dff81b9 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ヒャッハー(゚ω゚)さん» コメありがとうございます!更に楽しんでいただけるよう頑張ります(*´∀`*) (2019年6月7日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ヒャッハー(゚ω゚) - いつも見てます(^^) 配信楽しみです (2019年6月7日 7時) (レス) id: c172e98498 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» お久しぶりです!コメントありがとうございますヽ(*´∀`)ノ更新できる時はなるべく更新したいと思いますので、またよろしくお願いします! (2019年5月26日 13時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三楓 | 作成日時:2019年5月26日 13時

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