自我 ページ32
Aという存在が既にあるのなら、自分は一体何なのだろう。
半身は、そんなことばかり考えていた。
“宝物の番人”と名が付いたのは、彼女が半身になってから数ヶ月も経たないうち。
主軸であるAが、半身のことをそう呼んでいることを知り、何も知らぬまま受け入れたのがきっかけだった。
冷静に考えれば、番人と名が付くのは
怨念を持つ少女たちの手足になってしまったのだから。
いくら半身を探すためとは言え、そういう所は、我ながら性格が悪い。
「お前たちがこれからどうすればいいか教えてやろう」
格子に背を向けて座っていた半身は、背後に立つ三成に向けて言葉を投げかけた。
「なんだ」
「私を解放して『先読書』から手を引け」
「拒否する。秀吉様方のためにも宝物は手に入れたい」
「宝物を手にしたとしてもお前たちの望みは叶わぬぞ」
「なに？」
「あんなもの、あるだけ災いを起こすのじゃ。存在が明るみになった今では各地で戦を起こす始末。私は狗女に使われる前にアレを消そうと思っていた」
だが、もはやその夢も儚く潰えかけている。
宝物の存在が関与して、一体どれだけの人間が血を流しただろう。
半身は、それが悲しくてたまらなかった。
それに頼って元に戻ることを望むAに対して怒りを感じた。
「洞を開かれないことが一番宝物の存在を隠すことに適していると思っていた。じゃが、それももはや……」
「今頃はAの手中か」
「あぁ。恐らく狗女が願いを記せば、私は消えてなくなるだろう」
と、半身が呟いた時だった。
「なんだよそれ。そんなの認めるわけないっしょ！」
声を上げて暗闇の中から現れた左近に、半身は目を丸くした。
「左近……」
「貴様、ずっと聞いていたのか」
「番人さんの容態が気になって、つい」
怒られることが怖くて、思わず三成から視線を逸らす。
そして左近は半身の方へ足を進めた。
「なんでアンタが消えなきゃならないんだよ。アンタが半身だから？Aさんが主軸だから？」
「……そうだ。私はただの分身でしかない」
「なんでそんな弱気になるんだよ。本当は生きたいんだろ？元に戻りたくなんてないんだろ？なら一人で抱え込もうとすんなよ！俺が助けるって言ったじゃねぇか！」
唇を噛み締め、憤る左近を見て、半身は何も言うことが出来なかった。
彼は、私を助けてくれようとしている。
痛いほどそれが伝わってきて、胸が苦しくなった。
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三楓(プロフ) - ななさん» コメありがとうございます！お褒め頂き光栄です。続編も閲覧していただければ幸いですヽ(*´∀｀)ノ (2019年6月16日 13時) (
レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - とっても面白かったです！次も楽しみにしてます！！(o^^o) (2019年6月14日 22時) (レス) id: 404dff81b9 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ヒャッハー(ﾟωﾟ)さん» コメありがとうございます！更に楽しんでいただけるよう頑張ります(*´∀｀*) (2019年6月7日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ヒャッハー(ﾟωﾟ) - いつも見てます(^^) 配信楽しみです (2019年6月7日 7時) (レス) id: c172e98498 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» お久しぶりです！コメントありがとうございますヽ(*´∀｀)ノ更新できる時はなるべく更新したいと思いますので、またよろしくお願いします！ (2019年5月26日 13時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三楓 | 作成日時：2019年5月26日 13時
