宝物の番人 ページ4
腕を組んで再びそっぽを向く女に、左近たちは顔を見合わせながら疑問符を浮かべた。
「あの、別に宝物の在処聞きたいわけじゃ……。ってか宝物って何？大判小判とか？」
「いや、『
そう答えたのは外の方から。
医者の家の前に集っていた人々が道を開け、声の主を家の玄関へ通す。
後ろを振り返った左近は目を丸くした。
「よくやった左近。その女を城まで連れて来い」
「三成様！？なんでここに。もしかしてこの人三成様の知り合い？」
「こんな変な前髪の奴知らぬ」
女の水を差すような発言でその場が凍りついた。
何を隠そう女が「変な前髪」呼ばわりした男こそ、天下に名立たる豊臣家の重臣、石田三成。
しかも当主である豊臣秀吉の左腕である男だ。
そんな相手を侮辱する発言をしたとなればその場はもう昨夜の嵐並に荒れる。
そうなる前にと、左近は咄嗟に女の後頭部を掴んで押さえつけた。
「何をする！」
「いいから謝れ！三成様のあの顔はヤバい！下手したら秒殺されるぞアンタ！」
「私は見たままのことを言っただけじゃ！」
「いやもっと別の表現なかったのかよ！」
言論すればするほど悪口にしか聞こえなくなる。
すると三成の後ろから現れた奇妙な女がその場を諌めた。
目と鼻を隠すように付けられた面布の中央には『狗』の字が書かれている。
『狗』は左近に押さえつけられた女を布下から覗いて微笑した。
「ようやく見つけましたよ番人。私がどれだけ貴方を探したことか」
「お前っ……！」
『狗』の発言が押さえつけられていた女の胸に業火を宿す。
「まだ生きておったのか狗女。もう野垂れ死んだと思うておったわ」
嫌悪感を露わにしながら、『狗』に対して吐き捨てる。
刹那、見かけによらない強い力で左近の手を押しのけた女は、颯爽と裏口から逃亡をはかった。
「奴を追え」
三成が命じると、城下町のあちこちで待機していた兵士たちが動き出す。
しかし女は容易く兵士たちの間を掻い潜り、そのまま関所の外へと姿を眩ませた。
一瞬のうちに多くの情報を目の前にして唖然とする左近。
瞬きをしながら状況を整理するため『狗』に問いかけた。
「あのAさん……何がどうなってんの？」
Aと呼ばれた『狗』は三成の方を向いて承諾を得たあと、顔の部位で唯一露わになっている口を微笑ませて左近の問いに答えた。
「彼女こそが、『先読書』と呼ばれる宝物を守る番人。私が長年追っている人です」
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三楓(プロフ) - ななさん» コメありがとうございます！お褒め頂き光栄です。続編も閲覧していただければ幸いですヽ(*´∀｀)ノ (2019年6月16日 13時) (
レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - とっても面白かったです！次も楽しみにしてます！！(o^^o) (2019年6月14日 22時) (レス) id: 404dff81b9 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ヒャッハー(ﾟωﾟ)さん» コメありがとうございます！更に楽しんでいただけるよう頑張ります(*´∀｀*) (2019年6月7日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ヒャッハー(ﾟωﾟ) - いつも見てます(^^) 配信楽しみです (2019年6月7日 7時) (レス) id: c172e98498 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» お久しぶりです！コメントありがとうございますヽ(*´∀｀)ノ更新できる時はなるべく更新したいと思いますので、またよろしくお願いします！ (2019年5月26日 13時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三楓 | 作成日時：2019年5月26日 13時
