傷 ページ27
番人がAの半身。
あまりにも理解出来ない話に、左近は思考が停止した。
その間にも、手足を掴んでいた少女たちは強い力で手足を締め付けてくる。
どうにかしようと藻掻くが、彼女たちの救済を求める瞳のせいで、無理矢理引き剥がすという行為が出来なかった。
「その子たちは歴代のゴクウ。私の先輩たちですね。今でも死んだことを受け入れられず生者に縋る哀れな子たちです」
「このっ……！離せって！」
死者と言えどもさすがに子ども。
振り払ってしまえば壊れてしまいそうな彼女たちだが、見かけとは掛け離れた力で左近の動きを押さえつける。
「さて、余興はこれくらいにしよう。始めようかA」
「えぇ。大分血も流れたようですし、これで洞は開くでしょう」
Aは少女たちに押さえつけられた左近の前に立ち、調理場から拝借した包丁を振り上げる。
「あと一人、と言ったところでしょうか」
「逃げろ左近！」
三成が叫んだ。
咄嗟に左近を助けようと動いたが、やはり久秀に行く手を遮られてしまう。
「いや、無理っすよっ。この子たち、半端ないくらい力強くてっ……」
「それだけ生者に対しての怨念が強いんですよ。残念でしたね」
くすくすと笑うA。
包丁を振り下ろし、左近に命中させた
はずだった。
振り下ろしたはずの包丁は力なくAの手から零れ落ち、空いた手で左肩を押え叫び声を上げる。
「な、にが……」
そう呟いた左近の視界の隅に映った、宙吊りの番人。
意識を取り戻した彼女は、あろう事か自分の左肩を噛み、声を押し殺しながら痛みに耐えている。
ぽたぽたと肩から流れる鮮血。
呆然とする左近に、彼女は叫んだ。
「何をしておる！早く逃げぬか！」
心無しか左近を押さえつけていた少女たちの腕力が緩み、彼は番人を縛っていた縄を双刀を投げて切る。
重力に負けて落ちてきた番人を間一髪で受け止めた。
「左近……私のことはいい。早く、洞が開かぬうちに」
「んなこと言ってる場合かよ！しっかりしろ！」
歯型が付いた肩は見れば見るほど痛々しい。
三成の方も久秀を一瞬怯ませたのか、「先に城へ戻れ！」と左近に命じる。
左近は風魔小太郎とその配下の忍が、豊臣軍と交戦する戦場の中を駆け抜けた。
しかし、まもなくして豊臣軍は撤退を余儀なくされた。
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三楓(プロフ) - ななさん» コメありがとうございます！お褒め頂き光栄です。続編も閲覧していただければ幸いですヽ(*´∀｀)ノ (2019年6月16日 13時) (
レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - とっても面白かったです！次も楽しみにしてます！！(o^^o) (2019年6月14日 22時) (レス) id: 404dff81b9 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ヒャッハー(ﾟωﾟ)さん» コメありがとうございます！更に楽しんでいただけるよう頑張ります(*´∀｀*) (2019年6月7日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ヒャッハー(ﾟωﾟ) - いつも見てます(^^) 配信楽しみです (2019年6月7日 7時) (レス) id: c172e98498 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» お久しぶりです！コメントありがとうございますヽ(*´∀｀)ノ更新できる時はなるべく更新したいと思いますので、またよろしくお願いします！ (2019年5月26日 13時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三楓 | 作成日時：2019年5月26日 13時
