不一致 ページ15
「番人に対して慈悲など不要でしょう」
一人熱くなる左近に、Aが冷水をかける。
「誰かが幸せになるために誰かが犠牲になるのはこの世の摂理です。番人一人救ったところで何も変わらない。『先読書』がある限り、全てはその通りに動いてしまう」
だからこそ、とAが何かを言いかけて、左近が反論した。
「アンタと話してるとおかしくなる」
一言残して町人たちの方へ足を運んだ。
どうやら二人は波長が合わないらしい。
左近の中でのAは、人を対等に見ていない。
彼女は心のどこかで相手を見下しているような気がした。
「なんで三成様はあんな人に協力すんだよ。宝物とか興味無さそうなのに」
「私がなんだ」
「うわぁ!?」
独り言を呟いていた左近の背後に突如として三成が現れる。
彼も騒ぎを聞いて様子を見に来たようだった。
「なんでもないです、それよりすみません。対応が遅れちゃって……」
「構わん。あとは私が何とかする。貴様は町人たちを追い返す方へ回れ」
「はい」
勢いよく左近は屋敷から飛び出し、三成から説得された町人たちを門番と共に外へ誘導した。
*******
ようやく人が事態が落ち着いてきたころ、説得を終えた三成が、残った町人を誘導する左近に尋ねる。
「今朝Aを見たか?」
「Aさんならちょっと前に会いましたよ。多分今はもう部屋に」
「そうか。番人のことに関して話があったのだが、奴はよく動き回るから困る」
番人、その一言で左近に緊張が走った。
一週間とはいえ、三成には自分が番人を匿っていることを明かす訳には行かない。
かと言ってその単語が不意に出ると、動揺しない訳がなかった。
「……で、貴様にはしばらく……おい、聞いているのか左近」
「は、はい!すんません聞いてませんでした」
「私はもう少し大阪に留まる。その間、刑部と交代でしばらく佐和山の城を任せるが、構わないな」
「俺に任せてくれるんっスか!?」
「番人が出没した際に動けるよう準備はしておけ。いいな」
「はい。任せてください!」
なんて、陽気に答えてはみるものの、左近の内心は焦りでいっぱいだった。
約束の日が来る前に、番人をどこに隠すか。
その後どうやって彼女を生き残らせるか。
課題は山積みだ。
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三楓(プロフ) - ななさん» コメありがとうございます!お褒め頂き光栄です。続編も閲覧していただければ幸いですヽ(*´∀`)ノ (2019年6月16日 13時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - とっても面白かったです!次も楽しみにしてます!!(o^^o) (2019年6月14日 22時) (レス) id: 404dff81b9 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ヒャッハー(゚ω゚)さん» コメありがとうございます!更に楽しんでいただけるよう頑張ります(*´∀`*) (2019年6月7日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ヒャッハー(゚ω゚) - いつも見てます(^^) 配信楽しみです (2019年6月7日 7時) (レス) id: c172e98498 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» お久しぶりです!コメントありがとうございますヽ(*´∀`)ノ更新できる時はなるべく更新したいと思いますので、またよろしくお願いします! (2019年5月26日 13時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2019年5月26日 13時