悪役 ページ7
名前を呼ばれた私は思わず言葉を失った。
学校にスマホなんて持って来た覚えはない。
というかまだ買ってすら貰えていない。
なのに、どうして私のランドセルからそんな物が出てくるのか。
「どういうことですかAさん」
何が何だか分からない私は、問い詰めるように尋ねる先生と差別的な目で見るクラスメイトを見渡して「こんなの知らない!」と叫んだ。
「知らないわけないだろ。ショーコがあるじゃないか」
私のランドセルを放り投げ、男子生徒は落ちたスマホを私の前に突きつける。
「違反物持ってくるとかサイテーだな」
「私スマホなんて持ってない!これ貴方のでしょ!」
「は?何言ってんのお前」
高圧的な態度で脅すクラスメイトに、私は負けじと睨み返す。
しかし、ほかのクラスメイトが立ち上がって私に指を差した。
「先生!Aちゃんは嘘をついています!」
その子が引き金となり、お調子者や声が大きい子達が私を責め立てる。
「Aちゃんの嘘つき!」
「うーそつき!うーそつき!」
その野次を止める者はいない。
辛うじて先生が叱責するも、疑いの目は私に向かったままだ。
きっと先生には、私が他の生徒に罪を被せようとしたと映っている。
私がどれだけ声を上げても、数には敵わない。
その後先生に呼び出され、私は真実を話すまで帰さないと怒られた。
泣いたら負けだと自分に言い聞かせ、理不尽な言葉にひたすら耐えた。
職員室を出る時はどんな顔をしていただろう?
私にスマホを突きつけた男子生徒と、私を最初に「嘘つき」呼ばわりした人たちがくすくすと笑いながら去って行くのが見えた。
とても悔しかった。
とても歯がゆかった。
あいつらが、あいつらが悪いのに。
私は、嘘なんかついてなかったのに。
「どうした?」
まだ帰っていなかったのか、背後から三成君の声がして、私は一度振り向きすぐに顔を逸らした。
一言でも言葉を発したら泣き出しそうだった。
だから、ただ首を振ってその場を立ち去る。
「おい」
下駄箱の前で腕を掴まれる。
私は反射的にその手を振り払って、「なんでもないから」と声を震わせて言った。
「何をされた?」
「え?」
「誰に泣かされた?」
「……泣いてない」
「嘘をつくな」
視界が潤む。
これ以上話を続けたらこの場で泣き出してしまいそうだった。
そんな情けない真似はしたくない。
「私は……嘘つきじゃない!」
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三楓(プロフ) - なりさん» コメありがとうございます!私の作品を楽しんでいただきとても光栄です。三成様のヤンデレいいですよね(*´∀`*)これから段々病んでいく予定なので楽しみにしていただけると幸いです! (2018年8月15日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
なり - 三楓さんの書かれるお話が本当に大好きです。色々な小説を読んできましたが三楓さんの小説が私にとっては一番楽しく読めるものでした。これからも更新楽しみにしております。三成のヤンデレ小説最高です。 (2018年8月15日 1時) (レス) id: b82bc533b6 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ryuryuさん» コメありがとうございます(*´∀`*)ちまちま更新ながらも応援して下さりありがとうございます。とても励みになります! (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 那覇さん» コメありがとうございます(*´∀`*)執筆中はゲシュタルト崩壊して「ん?」となってしまう時がありますが、そのように言って頂けてとても嬉しいです!これからも頑張ります! (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 梨湖さん» コメありがとうございます(*´∀`*)前作に引き続いてのヤンデレですが(笑)楽しんでいただければ幸いです! (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2018年7月3日 18時