不許★ ページ45
Aが去った後、私はAが見ていた本棚の方に目を向けた。
何を見ていた？
まさかあのアルバム？
本棚の鍵を開け、男の私が所持するには相応しくないデザインのアルバムを取り出す。
……やはりここに置くべきではなかったか。
鍵がかかっているとはいえ、ガラスケース故に外から見えてしまう。
よく見るものだとしても、もっと厳重に管理出来るところを作らねばならないな。
なんせこのアルバムはAの物。
中の写真は幼いAばかりで、小学校の入学式から卒業式までのものがここに全て収められている。
Aは小学生の頃の記憶を一番嫌った。
低学年の頃はとても愛らしく写真の中ではいつも楽しげだが、高学年になるうちに段々と笑みが消えている。
あの事件の後から己の心を抑制し始めたからだ。
私以外の前では仮面を被って、八方美人を装う。それが当たり前になるまで、さぞ何度も苦しい思いをしたことだろう。
だからこれも普段使用しない部屋の隅に引越し用のダンボールごと隠れていた。
それでも捨てずに取っておいたのは、恐らく二度と同じ失態はしないという戒め。
かと言って思い出したくもなかったから自分さえも立ち入らない場所へ隠していた。
ならば
私が所持していても何も問題はあるまい？
それよりこれをどこへ保管しようと考えていた最中、はらりと落ちた一枚の写真。
それは私が手を加えて無残な姿にした写真だった。
これを見る度に思い出す。
あの日を、あの屈辱を。
『三成君、三成君！紹介するね。
ギリッと奥歯を噛んで、私はその写真を破り捨てた。当然のようにAの隣に写る奴の存在がただ憎らしかった。
Aの『親友』は私だ。
それなのに何故、こうして今も何食わぬ顔でAの隣にいる？
「続いて現在の各地の天気です」
付けたままだったテレビが天気情報に切り替わる。キャスターは「各地で急な夕立ちが発生しています」と、この周辺の地域を指しながら呼びかけていた。
カーテンから覗く西の空に暗雲が立ち込める。
Aが夕立ちに遭遇しなければいいがと心配していると、何やら窓に光るものが映った。
光るものはどうやらソファーの上にあるらしい。ソファーの方を振り返ると、私は呆れ返って溜息を吐いた。
「……あの馬鹿、家の鍵を忘れてどうする」
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三楓(プロフ) - なりさん» コメありがとうございます！私の作品を楽しんでいただきとても光栄です。三成様のヤンデレいいですよね(*´∀｀*)これから段々病んでいく予定なので楽しみにしていただけると幸いです！ (2018年8月15日 23時) (
レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
なり - 三楓さんの書かれるお話が本当に大好きです。色々な小説を読んできましたが三楓さんの小説が私にとっては一番楽しく読めるものでした。これからも更新楽しみにしております。三成のヤンデレ小説最高です。 (2018年8月15日 1時) (レス) id: b82bc533b6 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ryuryuさん» コメありがとうございます(*´∀｀*)ちまちま更新ながらも応援して下さりありがとうございます。とても励みになります！ (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 那覇さん» コメありがとうございます(*´∀｀*)執筆中はゲシュタルト崩壊して「ん？」となってしまう時がありますが、そのように言って頂けてとても嬉しいです！これからも頑張ります！ (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 梨湖さん» コメありがとうございます(*´∀｀*)前作に引き続いてのヤンデレですが（笑）楽しんでいただければ幸いです！ (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三楓 | 作成日時：2018年7月3日 18時
