共感 ページ43
持参していた分の課題が終わり、私は机の上で突っ伏していた。
まだ頭がズキズキと痛い。
隣で三成君が「気晴らしになにか見るか?」とテレビのスイッチを入れる。
最初の画面に映ったのはテレビショッピングの番組だった。
商品の紹介がメインなのにそれを紹介していた人の話し方がやけにオーバーリアクションで、ついそちらの方に目がいってしまう。
しかし三成君は何とも思っていない様子ですぐにチャンネルを変えた。
次に映ったのは黒いスーツをきちんと着こなしたニュースキャスターの男性。
「待って。政治のこととか余計に頭痛くなるから今は止めて」
「ニュースを偏見し過ぎだ。普段見ないのならばこれを機に見ろ」
「いやだから政治とかは……」
渋々顔を上げてニュースを見ていると、何やら事件が報道されていた。
交際していた女性に別れを告げられ、ストーカーした挙句警察に通報しかけた相手の女性を殺害した事件。
犯人は事情聴取で「自分は本気で彼女のことが好きだった」、「忘れられたくなかった」と供述していたという。
「……なんで殺しまでするんだろう?本当に好きな相手なら殺すなんて有り得ないのに」
「そうなのか?」
三成君の意外な返しに私はそうだよと念を押した。
「だって、死んでしまうんだよ?本当に好きなら一緒に生きたいと思わないかな。なのに殺したってことはどこかで別れを告げられたことを逆恨みしてたんだと思うんだ」
「……」
三成君はどこか納得がいっていないようだった。
「……共にいたいと思ったからこそ、逃げないように殺したのではないか」
「逃げないように?」
「本気で好きだからこそ、誰にも渡したくないと思う。だが相手は逃げてしまう。逃げられないようにするにはどうしたらいいか。自身だけを見てくれるにはどうしたらいいか。結果、殺してしまえば相手は逃げもしない、そして死んでしまった以上、他の誰かに好意を抱いたりすることも……」
三成君の考察を聞いて私はゾッとした。
でもその考察を理解出来なくはない。
自らを抑えられないほどの感情なら何度でも経験している。
それが暴走すれば取り返しのつかないことになってしまうことも。
仮にもし三成君に彼女が出来たら、私はちゃんと友人として喜べるだろうか。
応援できるだろうか。
……分からない。
もしかしたら犯人のように……。
なんて、今考えても仕方ないか。
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三楓(プロフ) - なりさん» コメありがとうございます!私の作品を楽しんでいただきとても光栄です。三成様のヤンデレいいですよね(*´∀`*)これから段々病んでいく予定なので楽しみにしていただけると幸いです! (2018年8月15日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
なり - 三楓さんの書かれるお話が本当に大好きです。色々な小説を読んできましたが三楓さんの小説が私にとっては一番楽しく読めるものでした。これからも更新楽しみにしております。三成のヤンデレ小説最高です。 (2018年8月15日 1時) (レス) id: b82bc533b6 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ryuryuさん» コメありがとうございます(*´∀`*)ちまちま更新ながらも応援して下さりありがとうございます。とても励みになります! (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 那覇さん» コメありがとうございます(*´∀`*)執筆中はゲシュタルト崩壊して「ん?」となってしまう時がありますが、そのように言って頂けてとても嬉しいです!これからも頑張ります! (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 梨湖さん» コメありがとうございます(*´∀`*)前作に引き続いてのヤンデレですが(笑)楽しんでいただければ幸いです! (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2018年7月3日 18時