空洞が出来た日 ページ40
『あの子と関わるのは辞めた方がいい』
小学校低学年の頃、私は三成君とは別の友人にそう告げられたことを思い出す。
「どうして？」
「僕は見たんだ。あの子がお前を茶化した同級生を殺そうとしたところを」
彼の言うあの子とは、三成君のことだ。
しかし友人とはいえ三成君とも仲がいい私はその発言が許せなかった。
本来であればその場で「ちょっと目つきは怖いけど本当は優しいんだよ！だからそんなことするはずがない！」と弁解することも出来ただろうが、丁度その日はあの事件が起きた翌日の放課後。
情緒不安定な私は胸の内に燻っていた気持ちを言葉にしてしまう。
「三成君は私を助けてくれた。でも貴方は、私を助けてくれなかった。そんな人の言葉を素直に聞くわけないでしょ」
「……」
彼は何も答えなかった。
それが余計に私の怒りを誘発させる。
「友達だと思っていたのに、どうしてあの時助けてくれなかったの？一番前の席にいたのに」
「それは……」
「何かあったら自分が助けるって言ってくれたのに、貴方はあいつらと同じ目をしていた！私を嘘つきだと思ったんでしょう！？」
「違う！確かにあの時はそう思ってしまったが、やっぱりおかしいと思ったからこうして呼び出して謝ろうと……」
彼の言い分も間違いではなかった。
何故なら私のランドセルの中から違反物が出たという事実に変わりはない。
まだ右左を習ったばかりの子どもが、その事実に裏があることなど見破れるはずも無いのだ。
肉体的にも精神的にも幼かったのは私も同様、そんな彼の本音を理解出来るはずもなく、友人だった彼に裏切られたと勘違いしてしまった。
全て、幼いが故の過ち。
「嘘つき！幸村君なんか大嫌い！」
目の前にいた幼い幸村君がどんな顔をしていたのか全く覚えていない。
それを機に私たちは交流を絶った。
勿論、このままではいけないと何度も謝ろうとした。
「酷いことを言ってごめんなさい」と。
しかしその度に私は悪くないと意地を張り続けてしまい、やがて学年が上がると同時に彼はどこかへ引っ越してしまった。
私はしばらく罪悪感を抱えたまま時を過ごしていたが、次第にあの事件に関わることを思い出したくないがためその罪悪感ごと記憶の奥深くに閉じ込めていた。
友人であり、謝るべき相手の顔も名前も全て忘れて。
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三楓(プロフ) - なりさん» コメありがとうございます！私の作品を楽しんでいただきとても光栄です。三成様のヤンデレいいですよね(*´∀｀*)これから段々病んでいく予定なので楽しみにしていただけると幸いです！ (2018年8月15日 23時) (
レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
なり - 三楓さんの書かれるお話が本当に大好きです。色々な小説を読んできましたが三楓さんの小説が私にとっては一番楽しく読めるものでした。これからも更新楽しみにしております。三成のヤンデレ小説最高です。 (2018年8月15日 1時) (レス) id: b82bc533b6 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ryuryuさん» コメありがとうございます(*´∀｀*)ちまちま更新ながらも応援して下さりありがとうございます。とても励みになります！ (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 那覇さん» コメありがとうございます(*´∀｀*)執筆中はゲシュタルト崩壊して「ん？」となってしまう時がありますが、そのように言って頂けてとても嬉しいです！これからも頑張ります！ (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 梨湖さん» コメありがとうございます(*´∀｀*)前作に引き続いてのヤンデレですが（笑）楽しんでいただければ幸いです！ (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三楓 | 作成日時：2018年7月3日 18時
