開封厳禁 ページ39
放課後。
教室では夏休み前ということで、クラスメイトが仲のいい者同士でつるんで遊びの計画を話し合っていた。
ここではなんだから、と私は人気のない廊下に幸村君と移動する。
「それで聞きたいことって?」
ここを誰かに見られて妙な噂を立てられる前に手っ取り早く済ませたい、なんて思いながら幸村君の言葉を待った。
「……あ、いや、夏休みの予定を尋ねたい。空いている日はござらぬか?政宗殿たちも誘ってゲームセンターなど如何かと」
勉強三昧の夏休みを課せられた私にとって、ゲームセンターは甘い誘惑。
無意識に「行きたい」と言ってしまった。
「あっ、でも……」
三成君からの忠告を思い出して咄嗟に言葉を濁す。
すると幸村君が目線を下げてぽつりと呟いた。
「既に石田殿との先約が?」
「うん。だから今回も……」
刹那、幸村君に両肩を掴まれる。
突然の事で頭が追いつかず、私は必死に抵抗した。
「な、なに!?」
「悪いことは言わぬ。石田殿とは距離を置いた方がいい」
「なんで幸村君がそんなこと……!」
「俺だから言っているのだ!本当に俺のことを覚えていないのかA!」
意味が分からない。
三成君と距離を置けだの、幸村君のことを覚えていないかだの。
次第にどろどろとした感情が湧き出る。
私たちの関係に、他人が水を差さないで!
怒りが爆発する寸前、その成れの果ての自分を客観視した。
喚いて、惨めで、子供っぽい。
自らの感情すらも抑えきれない、哀れな女。
私はそんな私が嫌いだ。
だから変わる。
自分の感情に『嘘』を付いて、嘘つきな自分を強引に受け入れた。
「ごめん。分からないや」
苦笑しながら告げる。
「……A」
「三成君は大切な友人だから、距離を置くことなんて出来ない。あまりそういうことを言って欲しくないな」
「違う!石田殿は……!」
「誰がなんと言おうと、私が三成君を一番理解しているつもりだから」
誰よりも
何よりも
私が彼の理解者であり続けたい。
彼だけが、私の理解者であるように。
「……本当に石田殿を理解しているのなら
貴殿らは友であるべきではないのだ」
そう言って俯いた幸村君の顔はやはり哀しそうなままだった。
44人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三楓(プロフ) - なりさん» コメありがとうございます!私の作品を楽しんでいただきとても光栄です。三成様のヤンデレいいですよね(*´∀`*)これから段々病んでいく予定なので楽しみにしていただけると幸いです! (2018年8月15日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
なり - 三楓さんの書かれるお話が本当に大好きです。色々な小説を読んできましたが三楓さんの小説が私にとっては一番楽しく読めるものでした。これからも更新楽しみにしております。三成のヤンデレ小説最高です。 (2018年8月15日 1時) (レス) id: b82bc533b6 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ryuryuさん» コメありがとうございます(*´∀`*)ちまちま更新ながらも応援して下さりありがとうございます。とても励みになります! (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 那覇さん» コメありがとうございます(*´∀`*)執筆中はゲシュタルト崩壊して「ん?」となってしまう時がありますが、そのように言って頂けてとても嬉しいです!これからも頑張ります! (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 梨湖さん» コメありがとうございます(*´∀`*)前作に引き続いてのヤンデレですが(笑)楽しんでいただければ幸いです! (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:三楓 | 作成日時:2018年7月3日 18時