口実★ ページ37
夏休み。
それは大半の学生にとって、校則というしがらみから解放される最高と言っても過言ではない日々の始まり。
しかし私からすればAと会うこと口実がなくなる憂鬱な長い休日。
毎年その時期が来る度に、私はAの予定を把握し共に居られる日を埋めなければならない。
「夏休み、課題を持って私の家に来い」
「……ど、どこかへ行こうってことじゃないの?」
今までならそうしていただろう。
だが所詮それは長くて二、三日に程度にしかならない。
対して夏休みの課題は一日で終わるほど易くはない。
つまり、課題が終わらない限り共に居られる。
休みの日でも勉強三昧なのかとAがあからさまに嫌そうな顔をしているが構うものか。
課題を早めに終わらせるという真っ当な口実を付ければ、夏休み期間どこへ誘われても断る口実にもなるだろう。
Aにとっても良し。
私にとっても良し。
これ以上いい条件はないだろう。
……さて、Aの予定は確認できた。
あとは『奴』のことを少し探るか。
*******
昼休みが終わり教室へ戻る途中、私は偶然にも真田とすれ違った。
「おぉ石田殿!A殿を見なかったでござるか?」
幸いAは喉が乾いたと言って自販機で飲み物を買いに行ったばかり。
だが貴様がそれを知る必要は無い。
「知らん。Aに何か用だったか?」
「もし夏休み空いているのならばどこかへ遊びに行こうかと誘おうとしていたのでござる。石田殿も如何だろうか?」
「Aとはただのクラスメイトだろう?大して仲良くもないのに遊びに行くのか?」
私の問いに真田はきょとんとした。
「某とA殿は友人でござる」
「何故そんなことが言える?」
「友であることに理由が必要なのでござるか?」
「違う。
友とはそんな単純なものでは無い。
脆い関係など、友とは呼ばない。
それは私が一番理解しているつもりだ。
「それとも、貴様も過去に囚われているのか?」
厳かに、カマをかける。
「石田殿、何を言って……」
「薄々気がついているのだろう?貴様のやっていることは無意味だ。どんなに話しかけてもどれだけ接しようとも……
Aは貴様の事などとっくに忘れている」
刹那、真田の瞳孔が開く。
どうやら私の勘は的中したようだ。
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三楓(プロフ) - なりさん» コメありがとうございます!私の作品を楽しんでいただきとても光栄です。三成様のヤンデレいいですよね(*´∀`*)これから段々病んでいく予定なので楽しみにしていただけると幸いです! (2018年8月15日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
なり - 三楓さんの書かれるお話が本当に大好きです。色々な小説を読んできましたが三楓さんの小説が私にとっては一番楽しく読めるものでした。これからも更新楽しみにしております。三成のヤンデレ小説最高です。 (2018年8月15日 1時) (レス) id: b82bc533b6 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ryuryuさん» コメありがとうございます(*´∀`*)ちまちま更新ながらも応援して下さりありがとうございます。とても励みになります! (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 那覇さん» コメありがとうございます(*´∀`*)執筆中はゲシュタルト崩壊して「ん?」となってしまう時がありますが、そのように言って頂けてとても嬉しいです!これからも頑張ります! (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 梨湖さん» コメありがとうございます(*´∀`*)前作に引き続いてのヤンデレですが(笑)楽しんでいただければ幸いです! (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2018年7月3日 18時