抜き打ちテスト ページ27
翌日、学校に登校したけれど何をしたかよく覚えていない。
ノートに新しいページが出来ていたことから板書だけはきちんとしていたのだろう。
やがてテストの日、私は三成君とテスト勉強をしたにも関わらず、本番では思うようにペンを走らせることが出来なかった。
結果、初めて赤点を取ってしまい担任の雑賀孫市先生から呼び出しをくらうハメになってしまったのである。
「ちゃんと勉強していたのか?」
私のテスト用紙を見ながら尋ねる孫市先生の言葉に頭が上がらず、私は自分の足元を眺めていた。
「抜き打ちテストとは言え、一週間余裕があっただろう。それに出題された問題は全て基本問題。それなりに勉強していれば取れるものだ。なのにお前は平均点以下。普通のテストではそれ以上を取っているというのに今回は一体どうしたんだ」
「……すみません。勉強はちゃんとしていたのですが」
ちらりと視線を横に向けると、職員室にいる他の先生たちが授業の準備をしていた。
大人の中に混じっているこの空間に違和感を感じる。
「まあ、年頃の悩みもあるだろう。だが勉学に支障が出てしまっては元もこうもない。一人での解決が無理なら我らを頼るといい。生徒の悩みを聞くことも教師としての役目だ」
孫市先生は口角を上げて柔らかく微笑んでくれた。
「……ありがとうございます」
私はその微笑みに下手な作り笑いで返した。
「補習は放課後だ。用事がない限り出席するように」
「はい」
軽く頭を下げて、職員室を後にする。
酷い点数が書かれたテスト用紙をクシャクシャにしたい衝動に駆られつつも、それは実行せず私は誰もいない廊下で深く溜息を吐いた。
「(放課後か……。三成君には先に帰ってもらうように言っておこう)」
それにしても三成君のことを思うとこの点数は本当に申し訳ない。
折角教えてくれたのに赤点を取ってしまうなんてきっと呆れるか落胆させてしまうだろう。
いや、もしかすると案外そんなことはないかも。寧ろネチネチと嫌味を言われそうな気が……
「A、職員室の前で何をしている」
……って思っていた傍からその本人を登場させるなんて
神様、貴方は本当に意地悪ですね。
「テストの結果はどうだ?見せてみろ」
「ぎゃー!見ないで!」
私の叫びも虚しく、テスト用紙は三成君の手に渡ってしまった。
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三楓(プロフ) - なりさん» コメありがとうございます!私の作品を楽しんでいただきとても光栄です。三成様のヤンデレいいですよね(*´∀`*)これから段々病んでいく予定なので楽しみにしていただけると幸いです! (2018年8月15日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
なり - 三楓さんの書かれるお話が本当に大好きです。色々な小説を読んできましたが三楓さんの小説が私にとっては一番楽しく読めるものでした。これからも更新楽しみにしております。三成のヤンデレ小説最高です。 (2018年8月15日 1時) (レス) id: b82bc533b6 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ryuryuさん» コメありがとうございます(*´∀`*)ちまちま更新ながらも応援して下さりありがとうございます。とても励みになります! (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 那覇さん» コメありがとうございます(*´∀`*)執筆中はゲシュタルト崩壊して「ん?」となってしまう時がありますが、そのように言って頂けてとても嬉しいです!これからも頑張ります! (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 梨湖さん» コメありがとうございます(*´∀`*)前作に引き続いてのヤンデレですが(笑)楽しんでいただければ幸いです! (2018年7月30日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2018年7月3日 18時