エピローグ ページ10
欲望から始まり、それは憎しみへと姿を変えた。
憎しみは次から次へと辿り、巡り……。
最後は信念へと変わった。
どこで憎しみは消えてしまったのだろう？
一体誰が、完全になるはずだったものを狂わせたのだろう？
……いや、この世に完全なものなどないのか。
不完全であるからこそ、美しいのか。
家康に敗れた久秀が結末に笑みをこぼすと、隣でかつて完全だった男がごほっと血を吐きながら笑う。
義輝「負けだ。予は初めて敗北を得た」
するとゆっくりこちらに歩んでくる女は、虚ろな瞳でその男を見た。
お市「そんな……それじゃ市は、帰れないの？長政様の元へ、帰れないの？」
「いいえ。そなたは帰ることが出来ますよ」
義輝側の人間として居た男、上杉謙信はお市にそう伝える。
謙信「もはや日ノ本は誰のものでもありません。あの城も、そなたの夫が眠る場所を支配する者はもういません。……ですから、この者を帰るべき場所へ送り届けても構いませんね？足利公」
義輝「好きにするといい。上杉の言う通り予に決める権利など既に無いからな」
清々しい気持ちでいる義輝を見て、謙信は頬笑みを浮かべた。
マリア「あら、帰っちゃうの市〜？」
この状況でも変わらずいるマリアは、戦いの最中傷を負ったお市を見て顔を顰めた。
マリア「全くもう、こんな傷作っちゃって……」
お市「ごめんなさい、義姉様」
マリア「まあいいわ。これでようやく貴方ともお別れというわけね。さて、これからどうしようかしら？」
淡白な態度でお市を突き放し、マリアは御所の奥へと消えていく。
お市は謙信と共に小谷城へ戻り、残った義輝は血を拭う旧友を尻目にふうっと溜息を吐いた。
義輝「道楽も終われば実に虚しきものだな、久秀」
久秀「左様で」
義輝「どうだろう？其之方も予と戦ってみないか？」
義輝の言葉に、久秀はふっと口元を緩める。
久秀「やれやれ。帝は貪欲な方だ」
久秀は天を仰ぐ。
さぁ、これから創り出される世は、果たして一体どんなものなのか。
それまでしばらく、密かに身を置くとしよう。
【完】
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三楓(プロフ) - 北さん» コメントありがとうございます。作品を最後まで閲覧頂きありがとうございました！現在は毛利元就さんの作品を更新中ですので、是非そちらも見ていただければ嬉しいです(*´∀｀*) (2021年1月21日 0時) (
レス) id: 6c61a6d02b (このIDを非表示/違反報告)
北 - つい最近戦国BASARAにはまった者です。元々三成が好きでしたが、あなた様の作品を読んで2倍、3倍、4倍と三成が更に好きになりました！あなた様の新しい作品を望む許可を私に！！ (2021年1月20日 23時) (レス) id: 858050ebfc (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ルカさん» コメありがとうございますヽ(*´∀｀)ノお褒めいただき光栄です！そうですね。また時間的な余裕があれば長編を作成するかもしれません。気長にお待ちいただければ幸いです|ｮ･ω･) (2019年1月17日 0時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 完結おめでとうございます。三楓さん…小説家になっても通用しますよ！これからも頑張ってください！ (2019年1月4日 13時) (レス) id: 4bcfa0b979 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 鳴劉蝉さん» コメありがとうございます！最後まで読んで下さりありがとうございました(*´∀｀*) (2018年6月2日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三楓 | 作成日時：2018年3月25日 10時
