足掻き ページ5
耳を劈くような轟音。
お市と戦っていた刑部と左近の頭上に大きな影が通り過ぎ、その影は弓矢の柵を越えて三成たちの方へ向かった。
三成に迫っていた義輝は、軽やかに轟音に紛れた攻撃を避ける。
「三成！」
弾かれたはずの無銘刀が三成の手元へ戻る。
それを受け取った三成は、ぶっきらぼうに言葉を吐き捨てた。
三成「助けろなどと言った覚えはないぞ家康！」
傷だらけの家康は苦笑いをしながら刃の墓場に降り立つ。
家康「そう怒るなよ。足利公はお前に任せる。だからワシにはこっちを任せてもらいたい」
家康が拳を構えるその先から、ばさりと漆黒の羽が宙に舞う。
「いくつか品が多かったようだね。まあ、全て受け取っているようで安心した」
現れたのは久秀と、彼の配下 風魔小太郎。
秀吉の件で自爆したと思われていた久秀は、五体満足で御所に現れた。
義輝「予は満足している。後で褒美を取らせようぞ久秀」
久秀「勿体なきお言葉光栄の至り。少し計画していたものとは違ったが……卿が喜んでいるのなら何よりだ」
不敵な笑みを浮かべる二人の武人。
三成「松永、久秀ッ……！」
後ろを睨む三成の心に、少しずつ憎悪が湧き上がる。
久秀のことはAから聞いていた。
秀吉を殺した張本人だと。
一度湧き上がった憎悪は再び三成を支配していくかと思いきや、自らそれを押し止め、刃を向ける対象を変えなかった。
ここへは復讐のためではなく、戦を終わらせるために来たのだから。
創世の始まりとなった者らを前に、かつて袂を別れた友と再び背中を任せることになろうとは誰が予想しただろうか？
家康「……死ぬなよ三成」
かつての友は戦場でよく仲間に言っていた言葉をかける。
三成「誰に言っている。それに私はA様の許可無しに死なぬと決めた」
いつもと変わらず、地を蹴る。
声を上げる。
全てを終わらせるため、始まりを断つため
まだ見ぬ明日を見るため、この刃を振るう。
……嗚呼、あの日夢の中で失った花びらは
まだ手元に残っているだろうか？
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三楓(プロフ) - 北さん» コメントありがとうございます。作品を最後まで閲覧頂きありがとうございました！現在は毛利元就さんの作品を更新中ですので、是非そちらも見ていただければ嬉しいです(*´∀｀*) (2021年1月21日 0時) (
レス) id: 6c61a6d02b (このIDを非表示/違反報告)
北 - つい最近戦国BASARAにはまった者です。元々三成が好きでしたが、あなた様の作品を読んで2倍、3倍、4倍と三成が更に好きになりました！あなた様の新しい作品を望む許可を私に！！ (2021年1月20日 23時) (レス) id: 858050ebfc (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ルカさん» コメありがとうございますヽ(*´∀｀)ノお褒めいただき光栄です！そうですね。また時間的な余裕があれば長編を作成するかもしれません。気長にお待ちいただければ幸いです|ｮ･ω･) (2019年1月17日 0時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 完結おめでとうございます。三楓さん…小説家になっても通用しますよ！これからも頑張ってください！ (2019年1月4日 13時) (レス) id: 4bcfa0b979 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 鳴劉蝉さん» コメありがとうございます！最後まで読んで下さりありがとうございました(*´∀｀*) (2018年6月2日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三楓 | 作成日時：2018年3月25日 10時
