忘れ物 ページ9
聞き覚えのある声に、Aは目に浮かんだ涙を拭って刑部の元へ馬を走らせた。
A「その声は、大谷殿……?」
刑部「おお、そこに居たか姫君。海賊相手にさぞ怖い思いをしたであろう。さあ、我と共に城へ戻られよ」
A「その前に、秀吉様と竹中殿が討たれたとは誠ですか?」
まずそれを聞かないわけにはいかない。
しかし、包帯のせいで彼の表情を見ても真実かどうかは捉えられなかった。
刑部「まずは城へ戻られよ。そうでなければ始まらぬ」
頑なに口を開こうとしない刑部。
言えない、ということはやはりそうなのだろうか?
A「……分かりました。城へ戻りましょう」
Aは馬から降り、刑部に付き従っていた兵士に保護された。
現実を知るのが怖い。
でも、知らないままはもっと怖い。
慶次「Aちゃん!」
後ろで心配そうな顔をする慶次の方を振り返って、Aは大丈夫だと頷いた。
*******
久々の大阪城に足を踏み入れたAは、その荒んだ有様に目を疑った。
特に城の中では、怪我人や喧嘩をする兵士たちの姿が嫌という程視界に入る。
えい「姫様!御無事で…!」
元就の元へ人質に向かう際に袂を別れたえいが、刑部たちと帰還したAの姿を見て安堵する。
A「よかった。えいも無事でしたか」
えい「姫様、少しお話が……」
刑部「姫君こちらへ」
再会の間すら与えない刑部は、Aを個室へ誘導する。
A「すみません。大谷殿と少し話しをしてからでも構いませんか?」
えい「……ええ。もちろんでございます」
Aは急いで刑部の元へ向かう。
広いとも言えない個室の外には見張りが二人。
部屋には日の光もほとんど射さない。
刑部「まず、姫君にこれを」
刑部が取り出したのはAの大切な物が入っている箱だ。
毛利の館に置いて来たきり、二度とお目にかかれないだろうと諦めていた。
刑部「安芸に姫君を迎えに参上した際、これだけが残っていたと」
箱の中身を確認すると、あの桜の髪飾りも、家康からもらった薬もちゃんと入っている。
A「あぁ……よかった。ありがとうございます大谷殿」
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三楓(プロフ) - snowさん» コメありがとうございます!楽しんでいただけて幸いです(*´∀`*)ちまちま更新ですが頑張ります! (2018年3月18日 21時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
snow - 最初から見たのですが楽しいです、みてハラハラします!これからも頑張ってください! (2018年3月18日 19時) (レス) id: 336a57e8b1 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 琴音さん» コメありがとうございます(*´∀`*)更に楽しんでいただけるよう頑張ります! (2018年2月4日 14時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
琴音(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新頑張って下さい!いつも楽しく見させていただいています! (2018年2月4日 14時) (レス) id: 63b6d3a152 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2018年2月4日 14時