白紙に戻す ページ44
関ヶ原を覆っていた霧は次第に晴れ、陽の光が地上を照らす。
西軍本陣へ戻った三成は手際良く撤退の準備を行った。
三成「刑部、左近、まだ動ける奴らを集めろ。傷を負ったものには治療を施せ」
最初は家康との和睦を拒絶していた三成が自らそれを申し入れたと聞いた時は一体どういう風の吹き回しなのかと刑部も左近も不思議でたまらなかった。
だが、考える間もなくすぐに命じられた通りの行動を起こす。
三成と共に本陣へ戻って来ていたAは、自分にも出来ることがないか尋ねた。
A「……わ、私もなにかお手伝いを」
三成「A様は重傷を負った兵たちと城へお戻りください。帝を倒した後、貴方様には言いたいことが山程あるので」
後ろ姿で彼の顔は見えなかったが、いつもより低い声からして相当怒っていることが察せられた。
まあ、三成が怒るのは当然のことかとAは素直に受け入れる。
A「……分かりました。汝の帰りを首を洗って待っています」
長い説教になるだろうなとAが猛省していた時、準備を終えた三成が後ろを振り返り、Aの元へ歩み寄った。
彼の顔や鎧には家康と戦った時の傷痕が痛々しく刻まれている。
三成「この際はっきり言いますが、Aに剣術の才能はございません。誠に秀吉様の兵士であったのかと疑ってしまうほどに弱いのです」
A「うっ……」
三成「構えもなっていない。ましてや人を斬ることに躊躇いがある。それでよくもまあ、兵士になろうと考えたものです」
言葉をオブラートで包むほど器用ではない三成は、Aの痛いところを突きまくった。
はっきり言われ過ぎたAは、項垂れる。
自分の中では人並みはあると思っていただけあって、剣術の才能はないとか、兵士であったことを疑うと言った発言は深く胸に刺さった。
A「か、狩りはしていたのでそこそこ強いと思っていたのですが……」
三成「人を斬れないのなら意味はございますまい」
A「……仰る通りです」
残念ながら、Aに反論の余地はなかった。
40人がお気に入り
「アニメ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三楓(プロフ) - snowさん» コメありがとうございます!楽しんでいただけて幸いです(*´∀`*)ちまちま更新ですが頑張ります! (2018年3月18日 21時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
snow - 最初から見たのですが楽しいです、みてハラハラします!これからも頑張ってください! (2018年3月18日 19時) (レス) id: 336a57e8b1 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 琴音さん» コメありがとうございます(*´∀`*)更に楽しんでいただけるよう頑張ります! (2018年2月4日 14時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
琴音(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新頑張って下さい!いつも楽しく見させていただいています! (2018年2月4日 14時) (レス) id: 63b6d3a152 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:三楓 | 作成日時:2018年2月4日 14時