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諸刃の剣 ページ43

三成「……黙れ、黙れ黙れ黙れ!私は、何も間違っていない!」


家康を庇ったAの目の前に、三成の凶刃が牙をむく。


家康「もういいんだA殿!貴方がここまでする必要はない!」


家康が逃げるよう催促しても、殺される恐怖で身体が怯えているとしても、Aは首を横に振った。


A「……今は間違いだと認めたくないかもしれない。真実を受け入れることが怖いかもしれない。





恐れてもいいんです。少しくらい過去に浸ってもいいんです。









その時は、汝の気が済むまで私が傍にいますから」


込み上げてくる涙を抑えながら、Aは刃を向ける三成を真っ直ぐ見つめた。


A「……だから、もう一度考え直してください。私たちが今やるべき事は何かを。汝が果たすべきことは、復讐などではないと!」

三成「……っ」


Aに向けられていた刃がゆっくりと振り上げられる。

殺される、とAが反射的に目を瞑った瞬間、刀を高く上げたまま三成が叫んだ。









三成「関ヶ原に集いし者に告ぐ!これより東西は和睦を結び、京御所へ進軍する!」









関ヶ原に響く声明。

呆気に取られていたAと家康は、次第に静まり返る戦場を見て思考が停止した。

刀を収めた三成は無言でAの腕を引く。

東軍本陣を去りかけた彼らに、家康は思わず三成を呼び止めた。


家康「三成!」


足を止めた三成は、後ろを振り返らない。


三成「……勘違いするな。帝を討ち果たしたあと、必ずや貴様を斬滅する。




私に虚言を吐いた罪、許されると思うな」


Aを強引に連れ、三成は東軍本陣を後にした。

彼らの背を見送りながら、残された家康はずっと背負っていた重荷が地面に落ちていく気がした。





そうか……





三成(おまえ)は、真実を受け入れるのか。






ふらつく足取りで立ち上がる家康を、戦場から戻って来た徳川家家臣、本多忠勝が支えた。


家康「あぁ、忠勝……お前まで巻き込んですまなかったな……。でも、もう道化師を演じなくていいんだ。嘘をつかなくていいんだ……」


三成と戦った傷痕が痛んだ。

織田家にいた頃からずっと共に戦ってくれた忠勝の腕の中で、家康の心に張っていた糸がぷつんと切れる。


重荷からようやく解放された傷だらけの主。


忠勝は機械音で『少し休みましょう』と疲労で眠ってしまった家康に呟いた。

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三楓(プロフ) - snowさん» コメありがとうございます!楽しんでいただけて幸いです(*´∀`*)ちまちま更新ですが頑張ります! (2018年3月18日 21時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
snow - 最初から見たのですが楽しいです、みてハラハラします!これからも頑張ってください! (2018年3月18日 19時) (レス) id: 336a57e8b1 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 琴音さん» コメありがとうございます(*´∀`*)更に楽しんでいただけるよう頑張ります! (2018年2月4日 14時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
琴音(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新頑張って下さい!いつも楽しく見させていただいています! (2018年2月4日 14時) (レス) id: 63b6d3a152 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三楓 | 作成日時:2018年2月4日 14時

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