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圧迫感 ページ32

私の手中にあったのは桜の花びらだった。

その前にいくつか所持していた気もするが、いつの間にか手元には一片しか残っていない。


走ってしまえば手から零れ落ち、強く握ってしまえば潰れてしまう。

そうならないように、優しく手の中に収めていた。



絶対に手放してはいけない。


これだけでもなくしてはいけない。


大切に大切に……先の見えない闇の中をゆっくり歩んでいく。







“あっ……”






花びらはすっと私の手の隙間をすり抜けていく。


止めろ。行くな。離れるな。


私は必死で花びらに手を伸ばす。


しかしその手は届かず、追い掛けるのに夢中で体勢を崩し、膝をついてしまった。




花びらは?×××は?




辺りを見渡し、私はやっと見つけた。

血の海に横たわる無数の死体の中に、白くなってしまった花びらの姿を。





“×××!”




……私はなんと叫んだのだろう?





どうしてこんなに胸が苦しいのだろう?





どうして私は、救えなかったのだろう?

*******

三成「っ!?」


質素な部屋に朝日が射しこむ。

三日ぶりに寝付いていた三成の額には冷や汗が浮かんでいた。


三成「夢、か……」


何も変わらない忌々しい朝。

未だ心の臓はバクバクと煩く鳴る。

身体を前屈させ、三成は大きく溜息を吐いた。


睡眠を取るだけ無駄だった。

嫌な夢を見てしまった。

射しこんだ朝日をぼーっと眺めながら、胸の内で自分を襲う激しい苦しみにひたすら耐え続ける。


三成「……A、様」


あの温もりがふと恋しくなり、三成は夜着を握りしめた。




早く帰ってきて欲しい。




早くこの苦しみを、Aの声で和らげてほしかった。

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設定タグ:戦国BASARA , 石田三成 , 三楓
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三楓(プロフ) - snowさん» コメありがとうございます!楽しんでいただけて幸いです(*´∀`*)ちまちま更新ですが頑張ります! (2018年3月18日 21時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
snow - 最初から見たのですが楽しいです、みてハラハラします!これからも頑張ってください! (2018年3月18日 19時) (レス) id: 336a57e8b1 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 琴音さん» コメありがとうございます(*´∀`*)更に楽しんでいただけるよう頑張ります! (2018年2月4日 14時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
琴音(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新頑張って下さい!いつも楽しく見させていただいています! (2018年2月4日 14時) (レス) id: 63b6d3a152 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三楓 | 作成日時:2018年2月4日 14時

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