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しっぺ返し ページ19

梅雨間近の曇り空。

生い茂った木々はどんよりとした空気のせいでしおれて見える。


A「少し休まれてはどうですか?」


庭に散乱した藁製の人形を見てAは稽古に勤しむ三成に声をかけた。

普段は左近と稽古をしている三成だが、最近は暇さえあれば一人で黙々と鍛錬することが増えている。

聞いたところでは食事や睡眠もろくに取らず、全てを鍛錬の時間に費やしていることもしばしばあるようで、Aはそんな三成を心配して様子を見に来たのだ。


A「ここのところ、あまり眠っていらっしゃらないと聞きましたが……」

三成「奇襲に備えているだけです」

A「門番が交代で見張っているので、そこまで気を張らなくても」

三成「A様が煩うほどのことではございません。この程度、あの日の屈辱に比べれば…!」


あの日、恐らく家康によって秀吉が討たれた日のことだろう。


今の三成は復讐のためだけに身を焦がしている。




そして、復讐に囚われた先を、Aは知っている。



A「……そうですか。石田殿、私に出来ることがあればなんでも言ってください」



かつてその道を歩んだからこそ、何か力になりたい。



同じ過ちをさせたくない。



すると三成は人形の胴に刺した刀を抜き取り、ゆっくりとAの方を振り向いた。


三成「軽々しくなんでもなどと言わないでください」


拒絶の言葉と凍てついた目で睨まれたAは思わず怯んでしまう。


三成「何を驚いていらっしゃる?以前貴方様が私に申したことをそのまま返しただけですが?」

A「あー……言ったような、言わなかったような…」

三成「言いました」

A「なかったことにできま…」

三成「せん」


とぼけようとしても三成から即座に指摘を受け、あえなく撃沈。

「ですよね」と苦笑いするしかなかった。


A「…今なら分かります。その言葉がいかに残酷なものか。私は汝に酷いことをしてしまったのですね」


心配してくれたのに、力になってくれようとしてくれたのに


その優しさを拒絶した。


拒絶さえざる負えなかった状況だったとしても、逆の立場になって頼られない辛さをAは感じた。




あぁ、私はこの痛みを随分前に知っている。

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三楓(プロフ) - snowさん» コメありがとうございます!楽しんでいただけて幸いです(*´∀`*)ちまちま更新ですが頑張ります! (2018年3月18日 21時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
snow - 最初から見たのですが楽しいです、みてハラハラします!これからも頑張ってください! (2018年3月18日 19時) (レス) id: 336a57e8b1 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 琴音さん» コメありがとうございます(*´∀`*)更に楽しんでいただけるよう頑張ります! (2018年2月4日 14時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
琴音(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新頑張って下さい!いつも楽しく見させていただいています! (2018年2月4日 14時) (レス) id: 63b6d3a152 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三楓 | 作成日時:2018年2月4日 14時

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