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責任 ページ11

自室に箱を置き、Aはえいが待つ部屋へと足を運んだ。


えい「姫様。お待ちしておりました」


そこには、えいの他にも女中たちが集まっている。

変わり果てた屋敷の様子に怯え切った女中たちは、Aであろうとも目を合わせようとしなかった。


A「……それで、話とは?」

えい「助殿」


えいが名を呼ぶと、隣の部屋から口を堅く結んだ助が現れる。

彼はAの顔を見るや否や、唇を震わせその場で深々と頭を下げた。


助「申し訳ございません!全て俺の……俺のせいなんです!」

A「どうしたのです助。頭を上げなさい」


座敷の畳に額をこすりつけたまま、助は謝り続けた。

どうして彼が謝っているのか全く理解できていないAに、えいが説明を加える。


えい「彼は、帝と通じていました。これがその証拠だと」


えいはAの目の前に、一通の文を差し出す。

簡易な内容のその文に、差出人の名はない。


助「A様が安芸へ向かった後、見知らぬ男に間者になれと脅され……断れば両親の命が危なかったのです!ですがまさかその後秀吉様と竹中様があんなことになるとは思っていなくて……。俺が、お二人を殺してしまったも同然なんです!」


震える助を見ながら、Aは文をえいへと返す。


A「石田殿には?」

えい「言えなかった、と。今の石田殿は、かつて姫様の護衛として仕えていた者と別人でございます。まるで鬼に憑りつかれているかのごとく、徳川殿への復讐を果たすために生きている。ですから助殿は、姫様から石田殿へ伝えてほしいと」

A「私から?」

えい「皆、石田殿を恐れてしまっているのです」


助もAとは長い付き合いだ。

悪気があってやったわけでないことくらい察せられる。

それでも彼は死をもって償おうとしていた。


助「失礼なことであることは承知しています。ですがっ……」

A「汝が死ねばご両親も弟も悲しみます。本当に償いたいのであれば、生きなさい」




それはかつて命を絶った加密列と、未来を望まなかった自分自身へ向けた言葉でもあった。




すると助が声を噛み殺しながら泣き出す。

言葉にならない謝罪をし続けながら、彼はただただ泣いていた。

荒涼→←凍てつく雨



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三楓(プロフ) - snowさん» コメありがとうございます!楽しんでいただけて幸いです(*´∀`*)ちまちま更新ですが頑張ります! (2018年3月18日 21時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
snow - 最初から見たのですが楽しいです、みてハラハラします!これからも頑張ってください! (2018年3月18日 19時) (レス) id: 336a57e8b1 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 琴音さん» コメありがとうございます(*´∀`*)更に楽しんでいただけるよう頑張ります! (2018年2月4日 14時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
琴音(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新頑張って下さい!いつも楽しく見させていただいています! (2018年2月4日 14時) (レス) id: 63b6d3a152 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三楓 | 作成日時:2018年2月4日 14時

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