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京攻め ページ1

大阪城では豊臣恩顧の大名が集う。

今年の彼らに、花見をする余裕などない。


秀吉「これより我らは京へ兵をあげる!この世を脆弱にする帝を討ち果たし、我ら豊臣が日ノ本の頂へ立つのだ!」


秀吉が拳を振り上げると、大名たちの歓声が巻き起こる。

これより始まる足利義輝との戦は、豊臣の天下創世の仕上げだった。

*******

戦の準備に勤しむ三成は、ふと屋敷から飛び出す助の姿を目撃した。


三成「(奴はこんな時に何をしている?)」


その横顔は怯えているような、はたまた焦っているような…。


家康「首尾はどうだ?三成」


自軍の整えを終えた家康が、武具を確認する三成の元へやって来た。


三成「別に」

家康「この戦いが終われば、きっとA殿は戻って来るからそう落ち込むなよ」

三成「何故そこでA様の名を出す。あと落ち込んでなどいない」


ムキになる三成を見て、家康は楽しそうに笑う。

しかしその笑みはすぐに消えてしまった。


家康「…まっ、心配になるよな。数日前に毛利の館が奇襲にあったと聞けば無理もない。A殿……無事だといいのだが」

三成「あの御方のことだ。きっと以前のように脱走を企て逃げ出したに違いない」


全く興味のないふりをする三成に、家康はわざとらしくこう告げた。


家康「毛利の元で世話になるうちに、そのうち家臣の誰かと……」

三成「貴様は戦支度に集中しろ!この戦が終われば私が直ちにA様を御迎えする許可を頂いた!そのようなことには断じてならない!」


早口で言い切った三成に、家康は目を丸くした。

すると賽で弄んでいた左近が横槍を入れる。


左近「なーるほど。そこで告っちゃうわけっスね!」

三成「いい加減、戦支度に集中しろ!」


刀の柄で家康と左近を払う。

渋々二人が戻って行くと、三成は大きく溜息を吐いた。


三成「……私の想いなど、とっくにA様へ告げている」


武具の確認が書かれた紙をぐしゃりと潰し、火が焚かれた松明にそれを燃やした。



高望みはしない。


ただ、叶うならもう一度A様と……。



風で揺れる桜の木を眺めながら、三成は出陣のため秀吉の元へ足を踏み出した。

侘しさ→



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三楓(プロフ) - snowさん» コメありがとうございます!楽しんでいただけて幸いです(*´∀`*)ちまちま更新ですが頑張ります! (2018年3月18日 21時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
snow - 最初から見たのですが楽しいです、みてハラハラします!これからも頑張ってください! (2018年3月18日 19時) (レス) id: 336a57e8b1 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 琴音さん» コメありがとうございます(*´∀`*)更に楽しんでいただけるよう頑張ります! (2018年2月4日 14時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
琴音(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新頑張って下さい!いつも楽しく見させていただいています! (2018年2月4日 14時) (レス) id: 63b6d3a152 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三楓 | 作成日時:2018年2月4日 14時

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