黄昏時の御伽噺3 ページ15
一方、長に呼び出されたAは、屋敷の一番奥の部屋に連れて行かれた。
長が側近達と集会する時に使う場所で、滅多に入ってはいけない神聖な場所だ。
「頼みと言うのはだなA」
長は部屋の引き出しにある巻物を取り出す。
「お前に、この術を習得してほしいんだ」
A「術、ですか?」
長は巻物の紐を解き、Aの前にそれを広げて見せた。
「近々、織田軍がこの里に攻め入ると情報が入ってな」
魔王と恐れられる織田信長。
Aも名くらいは耳にしたことがあった。
「それに対抗するための術だ」
A「それは…一体どのような」
「簡単に言えば、一度に敵を一掃できる。もし逃げられたとしても後々に病として死に至る。言わば、呪いだ」
A「呪い…」
Aは、ごくりと生唾を呑み込んだ。
「ただこの呪いは完成すれば強力だが、それに至るまでが厳しい」
A「そんな…半端者の私が出来ましょうか?」
「将来有望なお前を見込んで頼んでいるんだ。A」
長の瞳に、Aは吸い込まれてしまいそうな感覚を覚えた。
「無理なら他の者に頼むが…どうする?」
こんな機会は滅多にないだろう。
長が自分の実力を認めてわざわざ頼んでくれている。
それを、足蹴にするようなことはしたくない。
Aは、自分の忍び装束をきゅっと掴み「やります」と宣言した。
「お前ならそう言ってくれると思ったぞ。A」
長の柔らかな手が、Aの頭を撫でた。
*******
鉛の味。
眩む視界。
Aの幼い身体は、気が付けば御神木に縛り付けられていた。
何度も殴られ、何度も蹴られ…ベテラン忍達の修行や鬱憤晴らしの的になっていたのだ。
食事は最低限の為、いつもお腹が減っていた。
「きついかA」
長の声が聞こえるたび、Aは血まみれの顔を横に振った。
全ては呪いの術を習得する為。
全ては…長の為に。
幼いAはこれを修行だと自分にひたすら言い聞かせた。
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三楓(プロフ) - ゲーム好きの酢昆布さん» コメントありがとうございます!こちらこそ最後まで閲覧頂きありがとうございました(*´∀`*) (2021年11月7日 14時) (レス) id: 6c61a6d02b (このIDを非表示/違反報告)
ゲーム好きの酢昆布(プロフ) - 好きです、、、ありがとうございます。佐助、、好きだ、、主さん、、、ありがとう、、 (2020年11月7日 1時) (レス) id: 6552225290 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 彩月いろはさん» コメありがとうございます!最後まで見てくださりありがとうございました(*´∀`*)次作も武田軍なので、佐助さんはもちろん出演します。そちらでは普段の佐助さんになる予定(?)なので、見てくださると嬉しいです! (2017年9月28日 10時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
彩月いろは(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです!基本的に明るい佐助のいつもの気楽さが抜けたりとそういったギャップも書かれていて、とてもドキドキしてました笑、次作も楽しみにしています! (2017年9月27日 23時) (レス) id: 676cb16bcb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 彩月いろはさん» コメありがとうございます。改めまして、リクエストしていただきありがとうございました!あくまでも私の勝手なイメージ全開ですが、佐助らしさが伝われば幸いです(笑)引き続き更新頑張ります(*´∀`*) (2017年9月20日 16時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2017年9月9日 8時