逃げ道 ページ15
左近「三成様―…ってあれ?いねぇし」
きょとんとした顔で部屋に現れたのは三成ではなく左近だった。
左近「あ、Aさん、おはよーございます!三成様探してんっすけど、どこ行ったか分かります?稽古の約束してたんっすけど全然来なくて……Aさん?」
羽織を握ったまま黙るAの顔を左近は近くまで寄って覗き込んだ。
左近「大丈夫っすか?なんか、顔色悪そうっすけど…」
A「大丈夫、です…」
左近「ちょっと失礼」
左近はAの額に手を当て、うーんと唸った。
左近「熱はなさそうっすけど、目腫れてるし…昨日なんかありました?」
A「っ…」
左近「何なら三成様呼びましょうか?」
A「だ、駄目っ!」
部屋を出ようとした左近の袖を咄嗟に掴んだA。
その様子から左近は、三成関係で何かあったのだと推測した。
左近「こういう時利休さんがいいんだろーけど…確か利休さんは京に行ってるって秀吉様言ってたしな…」
A「…左近さん」
左近「ん?どうしました?」
A「…竹千代君の居る部屋、教えてくれませんか?」
Aにとって竹千代、家康は兄のような存在であったと同時に、親に言えない悩み事などを聞いてくれる人でもあり、今のAは家康の優しさを求めていた。
左近「えっと…竹千代君ってーのは」
A「家康様です…」
左近「え、なんで家康っすか!?」
A「…家康様とは従兄妹なので」
左近「ああ、そういうことっすか。いや、でも流石にそれはちょっとまずいんじゃ…。いくら従兄妹とはいえ、奴は降伏した身だし、信用している奴なんていませんし…」
A「…」
更に悲しそうな顔をするAが哀れになったのか、左近は少し考えて「じゃ、分かりました!」と立ち上がった。
左近「家康のところに連れて行きますけど、なるべく早めに要件は終わらせてくださいね。もし三成様にAさんの事聞かれたら、その時は俺がいい感じに誤魔化しとくんで!」
はにかむように笑い、左近はAの肩をぽんっと叩いた。
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三楓(プロフ) - 星砕さん» 返信が遅れて申し訳ございません。最後まで閲覧頂きありがとうございます!主人公にとっては中々残酷な結果となってしまいましたが..( ̄▽ ̄;)こちらこそ楽しんでいただきありがとうございました! (2020年8月15日 23時) (レス) id: 6c61a6d02b (このIDを非表示/違反報告)
星砕(プロフ) - はじめまして。本日一気に読ませていただきました。とても面白かったです!先の読めない展開に終始ドキドキしっぱなしで…………最後のシーンは「あ!そうなる!?」とびっくりしてしまいました笑。素敵な作品をありがとうございました (2020年8月13日 21時) (レス) id: 567175ed17 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - SAKINAさん» コメありがとうございます!最後まで読んでくださりありがとうございました(*´∀`*) (2017年10月30日 10時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
SAKINA - みっちゃんなら遣りかねない物語ですね。ヒロインの生き死に胸を鷲掴されました。読みごたえ十分です、どうもありがとう。 (2017年10月5日 20時) (レス) id: c9c7499e31 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - SCP-114514さん» コメありがとうございます!最後まで読んでくださりありがとうございましたヽ(*´∀`)ノ (2017年9月10日 12時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2017年8月29日 16時