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騒がしい声が段々と遠ざかっていく中、Aの意識はそこで途絶えた。

彼女が目を覚ました時には、家康も、そして三成も居ない真っ白な空間に一人だけぽつんと取り残されていた。


A「…痛く、ない」


刺されたはずの場所を見てみると、血の痕どころか、傷すらも無くなっていた。


A「ここは…?」


前に夢の中で見た真っ白な空間とはまた違う。

あの時は人がいて薬品の匂いなどが漂っていた。

今回はそんな香りではなく、懐かしいようなふわりとした優しい匂いだ。

ここがどこなのか把握しようと歩んでみるも、全て真っ白な空間の為、自分が歩いているのかすら不安になる。


『随分と早かったのですね』


ふと、頭に直接響くような声。


A「誰?ここは、どこですか…?」


真っ白な空間を見渡しては、Aは宛てもなく彷徨い続けた。


『私の予想ではもう少し粘ってくれると思っていたのですが…』

A「粘る?」

『今回はさしてつまらない展開になりましたね』

A「待って!貴方は誰ですか!ここはどこなんですか!」


実体のない声にAは頭を抱えてその場に座り込んだ。


『簡潔に言うと貴方は完全に死んでいません。ここは人の言葉でいうと死後の世界です』

A「死後の世界…?私は、死んで…」

『ですから貴方はまだ死んでいません。貴方が勝手に道を踏み外して来ただけですから』


Aは、『声』の言っている意味が分からなかった。


『あまりピンと来ていないようですので説明しましょう。Aと言う人間は、今三回ほど転生しています』

A「転、生…?」


それは以前、利休が即興で作った物語に出てきた言葉だ。


『人の居る世界が終わるまで、人は何度か転生を繰り返します。貴方の場合は三回です。一度目は自由を無くし、二度目は愛を無くし、そして三度目は…愛されて死んでしまった』

A「なんの、話を…」

『最初にAという人になった貴方は、捕虜でした。親元を離れ見知らぬ土地で懸命に働き、最後は力尽きて死んでしまいました。その時にここに貴方は戻ってきてこう言ったのです。






「自由になりたかった」と』

現実→←誤算



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三楓(プロフ) - 星砕さん» 返信が遅れて申し訳ございません。最後まで閲覧頂きありがとうございます!主人公にとっては中々残酷な結果となってしまいましたが..( ̄▽ ̄;)こちらこそ楽しんでいただきありがとうございました! (2020年8月15日 23時) (レス) id: 6c61a6d02b (このIDを非表示/違反報告)
星砕(プロフ) - はじめまして。本日一気に読ませていただきました。とても面白かったです!先の読めない展開に終始ドキドキしっぱなしで…………最後のシーンは「あ!そうなる!?」とびっくりしてしまいました笑。素敵な作品をありがとうございました (2020年8月13日 21時) (レス) id: 567175ed17 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - SAKINAさん» コメありがとうございます!最後まで読んでくださりありがとうございました(*´∀`*) (2017年10月30日 10時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
SAKINA - みっちゃんなら遣りかねない物語ですね。ヒロインの生き死に胸を鷲掴されました。読みごたえ十分です、どうもありがとう。 (2017年10月5日 20時) (レス) id: c9c7499e31 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - SCP-114514さん» コメありがとうございます!最後まで読んでくださりありがとうございましたヽ(*´∀`)ノ (2017年9月10日 12時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三楓 | 作成日時:2017年8月29日 16時

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