誤算 ページ21
三成「A……私を謀ったのかッ!」
三成の叫びにびくっと肩を震わせたAを、家康は落ち着かせるようにさらに強く抱きしめた。
三成「貴様はっ…証明しておきながら」
家康「三成、Aから一通りのことは聞いている。いくら許嫁でもAを傷つけるのなら、儂はAを渡すつもりは無いぞ」
家康なりのAを守るための決意だったのだろう。
だが、それが余計に三成を苛立たせた。
嫉妬、嫉妬、嫉妬…胸焼けしそうなくらい、その感情のみが募っていく。
三成「あああああああ!」
三成は家康とAの居る部屋に置かれていた護身刀の鞘を抜いた。
剥き出しになった刃は迷わず家康に向けられる。
三成「貴様さえ…貴様さえいなければァァ!」
視界は、真っ黒に塗りつぶされたように。
心は、刃物で何度も突き刺されたように。
同じ痛みを、Aにも味わって欲しかった。
A「止めてっ!」
家康が庇ったはずのAが、逆に家康を庇った。
家康「A!」
その腕を掴んだ時には…
Aを貫通した刃先が、彼女の血を畳に滴らせた。
その場で、一瞬時が止まる。
三成は茫然としていた。
それもそうだろう。
刺した人物が、謝るはずだったAなのだから。
家康「A!A!」
家康は畳の上に倒れたAを抱え、何度も呼び掛けた。
しかしその声にAは応じず、ただ彼女から溢れる鮮血だけが畳に広がっていく。
三成「A、A…?」
愛しい人の血で染まった刀を握りしめていた三成は、まだ今の状況が頭を追い付いていないようで。
家康「誰か!誰かいるか!」
家康の叫びを聞きつけ、外に出ていた家臣たちが大急ぎで戻って来た。
家康「医者を呼んでくれ!残ったものは包帯と薬草を!急いでくれ!」
「はっ!」
テキパキと家康が指示を出す間にも、三成はただ、その場から崩れ落ちることしかできなかった。
暗転。
45人がお気に入り
「ヤンデレ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三楓(プロフ) - 星砕さん» 返信が遅れて申し訳ございません。最後まで閲覧頂きありがとうございます!主人公にとっては中々残酷な結果となってしまいましたが..( ̄▽ ̄;)こちらこそ楽しんでいただきありがとうございました! (2020年8月15日 23時) (レス) id: 6c61a6d02b (このIDを非表示/違反報告)
星砕(プロフ) - はじめまして。本日一気に読ませていただきました。とても面白かったです!先の読めない展開に終始ドキドキしっぱなしで…………最後のシーンは「あ!そうなる!?」とびっくりしてしまいました笑。素敵な作品をありがとうございました (2020年8月13日 21時) (レス) id: 567175ed17 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - SAKINAさん» コメありがとうございます!最後まで読んでくださりありがとうございました(*´∀`*) (2017年10月30日 10時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
SAKINA - みっちゃんなら遣りかねない物語ですね。ヒロインの生き死に胸を鷲掴されました。読みごたえ十分です、どうもありがとう。 (2017年10月5日 20時) (レス) id: c9c7499e31 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - SCP-114514さん» コメありがとうございます!最後まで読んでくださりありがとうございましたヽ(*´∀`)ノ (2017年9月10日 12時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:三楓 | 作成日時:2017年8月29日 16時