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生け捕り ページ8

『A』


父親の声がした。

ごつごつとした掌をAに向け、こちらを見下ろしている。

Aは迷いなくその手を取った。

父親の掌の半分もいかない小さな手が包み込まれる。

ふと、後ろを振り返るとそこには《華》が咲いていた。

真っ赤で、鉛臭くて、《虫》は異様な形をしていた。


『お前はこれからこの道を歩んでいくんだ』


父親に引っ張られる度、足を動かす。

その都度、《華》はどんどん増えていった。

*******************

ごほっ(・・・)、と自分の口から出たのは真っ赤な血。

喉の奥から鉛の味がする。

かつて、父親との鍛錬で経験した時と全く同じだった。

木刀で何度も倒され、何度も屈辱を味わった時と同じ。


三成「ぐっ...」


右首を狙ったはずの自分の刀を、左手で掴んでいる三成の血が刀の輪郭を辿っていく。

Aの腹部には、三成の白銀の刀が突き刺さっていた。


負けた(・・・)


三成が刀を抜くとぶしゅっ、と血が溢れ出す。

Aは刀を落とし、ばたりと倒れてしまった。

ズキズキなどと生易しい痛みではない。治りかけの古傷を更に抉られたような痛みだった。


三成「こいつを捕らえろ」


額から流れる血を拭い、浅い呼吸の中、三成は兵達に命令をする。

しかし、主である三成と互角に殺しあった相手に誰も近づこうとはしなかった。

それもそのはず。

Aもまだ生きているのだから。

腹部を刺されたとは言え、武者狩りを行ってきた者ならそう易々と捕まえられるはずが無い。

捕らえようとした瞬間、斬られるかもしれない。

その恐怖が兵達に見られた。


三成「...ちっ」


三成はAの持っていた刀を兵の方に投げ、自らAを抱えた。


「み、三成様...何故その者を生かすのですか」


家臣が恐る恐る聞く。


三成「武者狩りの目的及び、もう一人の仲間を捕らえるために生け捕りにするだけだ。それが終われば私が直々にこいつを殺す」


その言葉だけでも兵達は身震いをした。

豊臣に仇なす者は、全て斬る三成はまさに豊臣の番犬。

敵に回せば、厄介この上ないだろう。

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設定タグ:戦国BASARA , 石田三成 , 三楓
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赫夜 - 三楓さんこんにちは赫夜デス夕方までのお仕事ご苦労様デス!!先程仕上がったこちらがわの内容を読ませて頂いたところ主人公ちゃんと三成の関わりが一転に別れて閉まったそうですが不純だらけの乱世で一体どうなって仕舞うのでしょうか…(゜m゜;) (2017年5月21日 15時) (レス) id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
赫夜 - 三楓さん» 三楓さんおはようございます赫夜デス徹夜までのお仕事お疲れ様でした(*^▽^*)前回仕上がったこちらがわの内容を読ませて頂いたところ三成の頭の中は主人公ちゃんの事でいっぱいだそうですが主人公ちゃん一体何処に居るのでしょうか…‥(-""-;) (2017年5月16日 7時) (レス) id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 名無し737号さん» お久しぶりです!コメありがとうございます(*´∀`*)ご期待に答えられるような作品にしたいと思います! (2017年5月14日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 赫夜さん» コメありがとうございます!これからも更新頑張りますね(*´∀`*) (2017年5月14日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
名無し737号(プロフ) - お久しぶりです。こんばんは。石田さんの愛縛を読ませてもらっていました!風です。今作も、なかなかに良い設定ですね!落ち着きのある石田さんに、魅力を感じました!頑張って下さい! (2017年5月14日 22時) (レス) id: 3d35d0379b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三楓 | 作成日時:2017年4月2日 9時

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