独り立ち ページ5
こびり付いた血を川の水で洗い流す。
「A、早くしなさい」
A「はい」
冷たい川から手を出すと、指先から雫がぽたぽたと流れ落ちた。
「そろそろ《虫》が寄ってくるはずだ。たくさんの《華》を見られるぞA」
A「次こそは綺麗に咲かせて見せます」
木に立てかけていた刀を手に持ち、Aは父親の後を追う。
A「...父上、大阪へはまだ向かわれないのですか?」
「まだだ。もしかしたら、向かわずに済むかもしれない」
A「父上の仰る天下に近い《虫》自ら寄ってくるからですか?」
「可能性はないとは言えない。A、お前にはその側近を《華》にする役目を任じよう。奴らもそこそこ強い。今のお前には丁度いい相手だろう」
A「承知しました」
「今向かっている所の《虫》も、お前が仕留めろ」
A「私で良いのですか?」
「綺麗に咲かせるためには鍛錬するのみだ」
A「では、お言葉に甘えて」
Aはぺこりと頭を下げた。
「俺は手助けしない。お前をそこに預けるなり俺は別の国を攻める」
A「私一人で...ですか?」
「お前もそろそろ自立する年頃だ。いつまでも俺の後を追いかけても俺には勝てない」
A「父上よりも強い相手がいるとは思えません。他の《虫》を倒したとて追いつけるなど...」
そう、Aにとっては父親こそが一番の強さであり、一番の壁だった。
父親を倒すには、父親の強さを持たなければならない。
「だからお前はまだまだなんだ」
一番言われたくない言葉をかけられる。
もう、あの時のような子どもではないと言うのに...。
ヤケになったAは刀を握りしめ父親の背に言葉を投げかける。
A「分かりました。私一人で国一つ落として見せましょう」
絶対に父親を超える。
父親を《華》にするために。
それだけが、Aの生きる目的だった。
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赫夜 - 三楓さんこんにちは赫夜デス夕方までのお仕事ご苦労様デス!!先程仕上がったこちらがわの内容を読ませて頂いたところ主人公ちゃんと三成の関わりが一転に別れて閉まったそうですが不純だらけの乱世で一体どうなって仕舞うのでしょうか…(゜m゜;) (2017年5月21日 15時) (レス) id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
赫夜 - 三楓さん» 三楓さんおはようございます赫夜デス徹夜までのお仕事お疲れ様でした(*^▽^*)前回仕上がったこちらがわの内容を読ませて頂いたところ三成の頭の中は主人公ちゃんの事でいっぱいだそうですが主人公ちゃん一体何処に居るのでしょうか…‥(-""-;) (2017年5月16日 7時) (レス) id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 名無し737号さん» お久しぶりです!コメありがとうございます(*´∀`*)ご期待に答えられるような作品にしたいと思います! (2017年5月14日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 赫夜さん» コメありがとうございます!これからも更新頑張りますね(*´∀`*) (2017年5月14日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
名無し737号(プロフ) - お久しぶりです。こんばんは。石田さんの愛縛を読ませてもらっていました!風です。今作も、なかなかに良い設定ですね!落ち着きのある石田さんに、魅力を感じました!頑張って下さい! (2017年5月14日 22時) (レス) id: 3d35d0379b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2017年4月2日 9時