狂イ咲ク狂気ハ愛情ダ

ニジュウサン ページ24

三成様は家康様の方を睨んだ。


三「貴様ァ！豊臣を裏切っておきながらのこのこと私の前に姿を現すな！」

柄に手をあて、三成様は抜刀斬りの構えを取った。しかし、家康様はただじっと三成様を見ていた。


家「... A、さあ一緒に来るんだ」


私に手を伸ばす家康様だったが、刹那、家康様の首に三成様の刀が当たっていた。


三「Aは私のモノだ！！」

家「三成、秀吉公を討ったのはわしだ」


家康様の発言に、三成様は目を見開いた。


家「左近の足止めさえくらわなければ、A殿をすぐに連れて帰ることができたのだが」

三「き、さ、まァァァァァァ！！お二人の命を奪っておきながらAさえも私から奪うか！」

家「奪うんじゃない！A殿は半兵衛殿の命でわしの家臣に嫁ぐ予定だった」

三「許さないっ！許さない！！」


家康様が一歩一歩下がるとともに三成様も一歩一歩進んでいく。

三「懺悔してﾀﾋね！家康！」

家「っ... 」


崖っぷちに達した家康様は意を決してそこから飛び降りた。


貴「っ！？家康様！」


私は急いで崖の下をのぞきこんだ。すると、さっきのようにゴウッと強い風がふいた。
私は反射的に上を向く。


すると、落ちたはずの家康様が忠勝様の上に乗っていた。


家「A殿、機会があればまた、会おう」


家康様は軽く微笑んで去っていった。唖然とした私だったが、はっ、と今の状況を思い出し、俯いて立っている三成様の方を見た。


貴「三成様！早くお二人を軍医に見てもらいましょう！まだ助かるかもしれません！」

三「... 」

貴「三成様！」

三「... ... と... ... .. .. たな. .. 」

貴「え？」

三「家康と話したな」


三成様は怒り狂った表情で私の胸ぐらを強くつかんだ。


貴「く、はっ. .. みつなっ... 」

三「A家康とどういう関係だ！」

貴「ど、どうと... 言われましても... 」

三「嘘をつくな！(貴様)は先程家康に様付けしただろう！あんな奴に敬意など必要ない！分かったか！」

貴「うっ... くるしぃ... 」


胸ぐらを掴む手は三成様が言葉を発する度に強まる。息苦しくて仕方ない。
それに気がついた三成様は、はっとして私から手を離した。


貴「けほっ、けほっ... 」

三「A、大丈夫か！？」

貴「は、はい。大丈夫です」

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