02' 軽音部 ページ4
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『おじいちゃーん、もう部活始まるよ？』
きれいに閉ざされていた棺桶の蓋を開ける。
「うぅ……もうそんな時間かぇ？」
『うん！おはよ！』
おじいちゃん改め部長の朔間零先輩を起こす。
それと同時に部室のドアが開いた。
「あ、百野先輩来てたんですね！
朔間先輩、おはようございます。」
「おや、今日の葵くんはひとりなのかえ？」
『さっき私がおじいちゃんのトマトジュースを買ってくるように頼んだから、
もうちょっとしたら来るんじゃないかな？』
そうかそうか、と言いながら先輩は棺桶から出てくる。
「よっこらせ…っと。譲ちゃんや、
ちと、肩を揉んでくれんかのぉ…。」
『お、任せて〜。』
「そういえば…、薫くんがまた近頃練習をサボっとるんじゃ。
いい加減にさせんといかんなぁ。」
こう見えてこの人は、私の受け持つ UNDEAD というユニットのリーダーだ。
棺桶で寝てる自称吸血鬼だからそんなこともつい忘れちゃうけど。
『それは私もそろそろ目を見張らないととは思ってるけど
あの人、ぶっつけ本番でも平気だし、パフォーマンスは申し分ないくらいだもん…。』
「くっくっく、嬢ちゃんも変わったのぉ♪」
『いつまでも新米じゃ迷惑かけるだけでしょ？』
そう言う先輩はほんとのおじいちゃんのように博識で
更に人をよく見ている。
その事は入学式の日からお世話になっている私が一番理解しているつもりだった。
「只今戻りましたーっ♪」
『あ、ひなたくん、ガミくんもありがと！』
「チッ…なんで俺様が荷物持ちなんだよ！」
「おぉ、わんこや。ひとつ我輩にくれんか。」
するとガミくんは手に持たされていたトマトジュースを投げつけた。
それをいとも容易く片手で掴まえる。
「あ、百野先輩、さっき司くんに会いました！」
『な、なんで私に言うの…？』
「明日はお弁当を作ってきて欲しいって言ってましたよ。
ふふ、おふたりは仲がいいんですね〜！」
『っ、仲良くないから！
はぁ、金持ちの考えてることはわかんないなぁ…』
「くっくっく、可愛いものじゃよ。」
ニヤニヤしながらトマトジュースをちゅーちゅー飲んでいる。
この人のこういうとこは理解できない。
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作者名：さな | 作成日時：2022年9月4日 21時
