優しく吹いた風に

初恋は叶わない・久々知　兵助 ページ2

〈初恋は叶わない。〉
そう、どこかで聞いた。
明るい日差しが差す縁側は、ポカポカしていてだんだん眠くなっていく。
『久々知先輩、お隣いいですか？』
「いいよ。」
二人でならんで日向ぼっこ。




『初恋って、叶わないんですかね。』
「え？」
目の前だけを見つめてただ言葉を紡ぐ彼女の瞳はわずかに揺れていた。
『私の初恋は、叶わないんですかね。』
「愛海？」
『…ずっと、ずっと好きでした。私の初恋は、先輩です。』
彼女の瞳に溜まった涙は頰を伝って装束に染み込んでいった。
「…先、こされちゃったよ。」
『え？』

答えなんて、とっくの昔から決まってたんだ。

「俺も、好きだよ。」

そっと彼女の肩に自分の頭を乗せた。
「ずっとずっと、愛海が好きだった。
……俺の初恋を奪ったのは、愛海だよ。」








「初恋は叶わない」なんて、ただの迷信だ。

愛していました・尾浜　勘右衛門→←その微笑みが好きで・善法寺　伊作

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