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接吻。口吸、口付......炭治郎の唇を、私の唇に、重ねる、ということだ。正直、それをして何になるかは分からない。けれどなんとなく、それを承諾するのははばかられた。
炭治郎と、それをしたら、私はどうなってしまうのだろう。
「あ、えっと」
「......駄目、だろうか」
「えっ......うん」
「それは、どっちだ?」
「駄目、かも」
ごめんなさい、と言うと、謝る必要はないよ、と返ってきた。
嗚呼、でも、炭治郎に抱き締められているのは心地良い。こんなに心地の良い温もりがあるなんて、知らなかった。炭治郎は、何故か私なんかを求めて私に触れてくるけれど、この心地良さが与えられているのはきっと私ばかりだ。私ばかり、炭治郎から貰っている気がする。
「えっと、口以外なら......いいよ」
「......口以外?」
「接吻......口以外なら、いい」
すると炭治郎は私の腕を抱いたまま少し体を離して、お互いの顔が見えるようにした。その目には困惑すら伺えた。
「ま、待ってくれ。具体的に何処になら良いんだ?」
「えっ、どこでもいいけど、口以外にしたいところなんてそんな、ある?」
「山ほどあるぞA!ちょっと待ってくれ、本当に俺はお前が心配だ!簡単にそんなことを承諾するな!!」
何故か怒られた。何が駄目だったのか分からなかったが、とりあえずごめんと謝った。何を焦っているのか怒っているのか分からないが、今の私の発言は駄目だったらしい。
「良いのかA、本当にどこでもいいのか?指定するなら今の内だぞ。そうじゃないと、俺は本当に、自分が口付けをしたいと思ったところにする。それでいいのか?」
「えっ......な、何その言い方、怖いんだけど」
いったいどこにする気なんだ......とは怖くて聞けなかった。炭治郎の顔が至極真剣なのが余計に恐ろしい。
「じゃあ、その......肩から上、で」
「分かった、失礼する」
「っひ、ちょ......!」
言うが早いか炭治郎は私の手首を掴んで壁に押し付け、いきなり首へ顔を近付けたかと思うとそこへ唇を落とした。あまりにも近い場所に吐息が当たって、身を捩る。
これは、まずい。とてもまずい気がする。抱擁なんて比じゃないくらい、まずい。
「た、たんじろ......」
「うん」
「これ、なんか、はずかしい」
「うん......」
「っ......炭治郎、炭治郎」
「......A、すまない」
炭治郎は私の隊服の一番上の釦を外して、捲った際に露わになった肩へと吸い付いた
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さざんか(プロフ) - 外で思いだすだけでキュンキュンして泣きそうになります…素敵な作品をありがとうございます!新作アンケも失礼しました…! (2020年11月14日 0時) (レス) id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 久しぶりに心から焦がれる素晴らしい作品に出会えて嬉しいです^ - ^本格的に冷え込む季節となりましたので、体調にはお気をつけてお過ごし下さいませ.更新を心待ちにしております (2020年11月13日 0時) (レス) id: e9e3f41ae9 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 初めまして、めっちゃ面白いです!!すごくキュンとしますっ/// 炭治郎の態度の急変…切ないです(泣)続き気になりすぎます…!!続編も全集中で拝読したいです(*^▽^)/★*☆♪応援しております!! (2020年11月11日 2時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 更新大変だと思いますが、とても楽しみにしています。これからも応援していますね。新作アンケート…冨岡さん好きなので、お願いしたいです。 (2020年11月7日 6時) (レス) id: 91f917202d (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 久々にドキドキする話でした、、続き楽しみです! (2020年11月6日 20時) (レス) id: f83c25335c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:子@さぶ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時:2020年10月24日 12時