淀み ページ33
「な…」
俺は思わず智さんと顔を見合わせた。
『彼は、自分のせいでみんなを傷つけてしまったと…もっと違う選択ができたんじゃないか、違う道があったんじゃないかっていつも考えてた。
そして、自分は、何もできていない足手まといだとも。』
ショウの言葉に、俺は力なく首を振る。
「何もできてないなんて…なんでだよ…」
翔さんはいつも、周りを見て俺たちのことを第一に考えてきてくれていた。
寄り添い、そして引っ張ってきてくれた。
大事な時の決断も、迷った時の選択も
すべてを背負ってきてくれていた。
翔さんがいなきゃ、ここまで来れなかった。
『…今、彼の魂はほとんど消えかけてる。』
その言葉に涙が溢れそうになるのを必死で堪えた。
「助けるには、どうしたらいい…？」
智さんの言葉に、うぅん、とショウが唸る。
『…ほとんど賭けみたいなもんだけど。』
「それでも！翔さんが助かる可能性が、少しでもあるなら！」
ほとんど無意識に、俺は叫んでいた。
『…ものすごく危険だし、最悪命を落としても？』
「ああ、それでも。やらないよりはマシだろ？」
どっちにしても、翔さんはこのままだと命を落とす。
それなら、やらない理由なんてどこにも見つからない。
智さんの方を見ると、ふふんと小さく笑われた。
…聞かなくてもわかる。おんなじ思いってことだ。
しっかりと頷けば
ショウは、はぁ…とため息をついた。
『そしたら、潤。この体に入るんだ。』
「ちょっ…ショウ！」
その言葉を聞いて、ジュンが慌てて声を上げた。
ホログラムみたいとは言えど、その顔は怖いくらい真っ青だ。
「何言ってんの？ただでさえ1つの体に2個魂が入ってて相当危険なのに！
これ以上魂が入ったら、どうなるか…」
『…じゃあ他に、どうしろっての？』
ショウの声は今までにないくらい恐ろしく低い。
『僕がそれをわからないわけないでしょ？
でもリスクを冒さなきゃ、彼は確実に死ぬんだよ。』
それを聞いて、ジュンが険しい顔をしてグッと口を噤む。
『綺麗事だけじゃ救えないよ。』
バッサリと切り捨てるようなショウの声は、冷たく聞こえるけど事実であって。
それをジュンも分かっているから、何も言えないんだ。
『…で、どうすんの？』
ショウの声に、智さんの背中の翔さんを見る。
グッタリとしていて息も浅い。
迷っている暇はない。
「やるに決まってる。」
俺が頷くと、ショウが小さく笑う声が頭に響いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 477人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
櫻宮 - なんか…嫌な感じですが。5人(+1人？)ならきっと乗り越えられると信じてます。。全員無事でありますように。そして、全員で笑えますように。。続き気になる！！ (2020年6月28日 17時) (
レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 櫻宮さん» いつもコメントありがとうございます。やっと黒幕と対峙し、お話も佳境です。結末まで、もう少し…かな？笑 (2020年6月27日 7時) (レス) id: bdb041c54a (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - サトシとマサキじゃなくてサトシたちとカズたち会えると良いですね。 (2020年6月25日 15時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 何だか凄く泣けますね。サトシとマサキ無事会えると良いですね。 (2020年6月25日 12時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 櫻宮さん» 今日は少し多めの５話更新です…！コロナも先が見えずに暗くなりがちですが、嵐さんを見て私も癒されています♪私も「Wash your hands」で楽しみながら手洗いしていますよ〜 (2020年6月24日 21時) (レス) id: bdb041c54a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
