進め、止まることなく ページ30
「…ん？」
しばらく進んだ時、ジュンが顔をしかめて首を傾げた。
「どうした？」
「いや…」
訊ねると、ジュンは目を閉じて
すぅ、と息を吸って吐いた。
「やっぱりだ。サトシとショウが移動してる。」
「…え？」
ジュンの言葉に、今度は俺が首を傾げる番だった。
「移動してる…ってことは逃げたってこと？」
「そうだな。それか…」
ゴクリとジュンの喉が動いて、それ以降は言葉が続かなかった。
声に出されなくてもわかる。けどそれは最悪の想定で…
「2人は大丈夫だよ。」
「…それは俺もわかってるよ。」
ジュンにそう言ってても、自分にも言い聞かせているようで。
それからは2人ともキュッと口を結んで、一言も話さなかった。
…
しばらくして、近づいてきたのか智さんと翔さんのオーラをなんとなく感じるようになってきた。
服の擦れる音や足音も微かに聞こえる…けど。
気になることが、一つある。
「…なぁ。」
話しかけると、ジュンはチラリと顔だけこちらに向けた。
「音が、1人分しかしなくないか…？」
…最初は聞き逃しているのかと思った。
何度も気のせいじゃないか確認した。
でも、何回聴いても間違いじゃないのだ。
ジュンが気付いていないはずがない。
俺より精度の良い能力を持つ彼が…わからない理由がない。
「…あぁ。」
ジュンが表情を変えず、ゆっくりと頷く。
「…最悪の事態じゃないけど、もしかしたら最悪の次に悪い事態かもしれないな。」
俺はその声を聞きながら、深呼吸を繰り返して息を整えた。
慌ててもしょうがない。目の前の事実を受け入れるだけの準備をしなければならない。
「…でも、息遣いは聞こえるだろ？なら最悪の次に悪い事態も回避したよ。」
慰めなのか、ただ思ったことを言っただけか
もはやそれはわからないけど。
俺は何も言えずに頷くしかなかった。
…
「この、下…だよな？」
俺の言葉にジュンが頷く。
トントントン、と指先で床を軽く叩き、外せそうな部分を探していると…
『ん、誰…？』
頭の中に、聞き慣れた声が響いた。
「智さん…！」
『んあ、潤か…近くにいんだな。』
警戒感のある声からほっと力が抜けた安心したような声に変わって、俺も小さく笑みが溢れる。
『もーちょいまっすぐ行って右に行った先に通気口みたいな場所があるから、そこで会お…』
ぷつりと智さんの声はそこで途切れ、俺はジュンに目配せしてさらに先へと進んだ。
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櫻宮 - なんか…嫌な感じですが。5人(+1人？)ならきっと乗り越えられると信じてます。。全員無事でありますように。そして、全員で笑えますように。。続き気になる！！ (2020年6月28日 17時) (
レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 櫻宮さん» いつもコメントありがとうございます。やっと黒幕と対峙し、お話も佳境です。結末まで、もう少し…かな？笑 (2020年6月27日 7時) (レス) id: bdb041c54a (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - サトシとマサキじゃなくてサトシたちとカズたち会えると良いですね。 (2020年6月25日 15時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 何だか凄く泣けますね。サトシとマサキ無事会えると良いですね。 (2020年6月25日 12時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 櫻宮さん» 今日は少し多めの５話更新です…！コロナも先が見えずに暗くなりがちですが、嵐さんを見て私も癒されています♪私も「Wash your hands」で楽しみながら手洗いしていますよ〜 (2020年6月24日 21時) (レス) id: bdb041c54a (このIDを非表示/違反報告)
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