到着 ページ1
島に近づくと、一段と霧が濃くなって
高めの波に煽られて船がゆらゆらと揺れた。
智さんがいつにも増して真剣な表情で操縦桿を握っていて、翔さんと雅紀さんが心配そうな表情でその姿を見つめている。
俺とニノは振り飛ばされないように手すりに掴まっているのに必死だった。
「…相当難しいんだろうね。」
ニノが運転席の方を向いて呟く。
「まあ、整備されてない島に船をつけるって普通しないもんな…」
その時ぐわんと船が大きく揺れて、ニノが顔をしかめる。
「…酔った？」
そういえばニノ、いつもより口数が少ないし、なんなら顔色も悪そう。
俺が尋ねると、ニノは辛そうな表情をしながらも小さく笑った。
「ま…大丈夫よ。」
…嘘だ。絶対大丈夫じゃないくせに。
「…ほら、もう着くみたいよ？」
反論をさせないようにか、ニノが言葉を続けたから
俺は諦めて船の進行方向を見た。
「よっ…」
智さんの声とともに船はぴったり吸い付くように岸に付いて、「おぉ…」と翔さんから感嘆の声が上がる。
智さんは素早く降りて船を岸に繋ぎ止めると、こっちに手を伸ばした。
「じゃ、順番に…」
その声に、真っ先にその手を掴んだのは雅紀さん。
長い手足を使ってピョーンと軽々と岸へと着地した。
「上陸！」
キラキラと輝くような笑顔を浮かべ、みんなもおいでよと手招きする。
「じゃ、じゃあ…」
翔さんがおっかなびっくり手を伸ばし、揺れる船からジャンプする。
先に上陸した2人が受け止め、残ったのは俺たち2人。
「…ニノ、いけそう？」
チラリと横のニノを見ると、普通に立っているもののいつにも増して顔色が青白く見えて
小声で尋ねると、ニノは小さく笑って首を振った。
「…くは、大丈夫よ。そんなに心配しなくても。」
それじゃあお先に、とニノが何事もないように島へと移っていき、俺はその後ろ姿をぼんやり見ていた。
…そんな顔色で、大丈夫なわけがないのに。
そうは思ったけど、でも口には出せなくて
俺は少しの間逡巡したけど、そのまま口を閉じた。
「じゃあ、そっち行くよ…」
…みんなに伝えることを本人が望んでいないなら、本来俺が口を出すべきではないのだ。
同い年で、なんなら俺よりも早く生まれたくせに俺よりも小さい背中を追ってぴょんとジャンプをすると
船は俺たちを見送るようにゆらゆらと揺れた。
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櫻宮 - なんか…嫌な感じですが。5人(+1人？)ならきっと乗り越えられると信じてます。。全員無事でありますように。そして、全員で笑えますように。。続き気になる！！ (2020年6月28日 17時) (
レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 櫻宮さん» いつもコメントありがとうございます。やっと黒幕と対峙し、お話も佳境です。結末まで、もう少し…かな？笑 (2020年6月27日 7時) (レス) id: bdb041c54a (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - サトシとマサキじゃなくてサトシたちとカズたち会えると良いですね。 (2020年6月25日 15時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 何だか凄く泣けますね。サトシとマサキ無事会えると良いですね。 (2020年6月25日 12時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 櫻宮さん» 今日は少し多めの５話更新です…！コロナも先が見えずに暗くなりがちですが、嵐さんを見て私も癒されています♪私も「Wash your hands」で楽しみながら手洗いしていますよ〜 (2020年6月24日 21時) (レス) id: bdb041c54a (このIDを非表示/違反報告)
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