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静寂が辺りを包んで、僕は頭を下げた姿勢でしばらくそのままでいた。
このままずっとこの時間が続くんじゃないかって思った時、静かに低いジュンくんの声が響いた。
「カズ…頭あげて。」
その声にゆっくり頭を上げると、ジュンくんの大きなまん丸の瞳は水分を湛えていて
予想外の出来事に僕は慌ててしまった。
「ごめっ…やっぱりヤだった…？」
「違っ…！」
ジュンくんが叫んで、ギュッと僕の腕を引っ張って
バランスを崩した僕を受け止める。
「俺も…もう怒ってない。
意地張ってて、ごめん…」
その声が震えていて、なんだ、2人とも同じ気持ちだったのかってわかって
僕はぽんぽんと優しくジュンくんの背中を叩いた。
「お花、ありがとう。かわいいね…」
ジュンくんがキラキラした瞳でキンモクセイとギンモクセイを見つめる。
ただそれだけの言葉に、僕と感じ方が一緒だって嬉しくなる。
「その花、キンモクセイとギンモクセイっていうんだって。」
そう教えると
ジュンくんはニコニコと嬉しそうにして
「これも、俺とカズの花だね」って笑った。
「俺、この花好き。」
そう言ってくんくん匂いをかぐジュンくんが可愛くてクスクス笑うと、怪訝な顔をされる。
「なんでもないよ」って言えば、「ふぅん？」と言って
ジュンくんはいそいそと花瓶にそれを生けた。
「ここに飾っておく。」
窓際に置かれたそれは、日光に反射してキラキラ輝いて見える。
ちょんちょんと指先で花を優しくつつくジュンくんはその花を気に入ってくれたみたいだ。
「キンモクセイが綺麗な場所があるからさ、ジュンくんも一緒に見に行こうよ。」
「うん！」
きっと、お婆さんにジュンくんを紹介したら喜んでくれるだろう。
それにまた、いろんな話がしてみたい。
窓際で上機嫌なジュンくんを眺めつつ、ふと2階に続く階段が目に入って
見ると、3人がこっちを嬉しそうに見ている。
『よ・か・っ・た・ね！』
相葉さんがそう口パクで言ってて、大野さんと翔さんは微笑ましそうに笑みを浮かべながらこっちを見ていて。
ああ、見守ってくれていたんだなって
胸がじんわりとあったかくなる。
「…ありがとう。」
そう呟くと、僕はにっこりと笑顔を浮かべて
目の前のジュンくんに勢いよく抱きついた。
…「秋に舞う花が結ぶ絆」fin
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