サキュバスですがなにか。【３】 (ページ18)

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そしてついに、待ちに待った文化祭が訪れた。2Daysの文化祭は、外部からのお客さんもたくさんで、毎年盛り上がるらしい。

僕とAさんが行くと決めた軽音部のライブは2日目にあるらしく、かなり楽しみ。
2日目は遊ぶ事にして、1日目はシフトを入れている。
僕らはトロッコに乗って敵を撃つというような感じのゲームを作ったので、多くの人が集まってくれた。だから運営する僕らも高い回転率を必要とするため、めちゃくちゃ忙しいんだけど…。

「あれ、Aってどこに行った？」

今の時間帯のリーダーである舞子さんが、疑問を口にした。
確かに僕も気になっていた。Aさんが担当するはずの場所には誰もいなかった。

「さっきからいないよね？」
「うん。忘れてるのかな…」
「あ、舞子、さっきAさんが夕凪とどっかに行くの見たよ」

真也くんのその言葉に、僕と舞子さんは顔を見合わせる。
帆立くんとAさん。一番一緒にいてほしくない組み合わせだ。

「何でもっと早く言わないのよ、真也のばかっ！」
「だってクラスメイトだしおかしくはないだろ…！」

すぐ隣で聞こえているはずの張り上げた声が、やけに遠くから感じた。
まずい。
僕がノロノロしている間に、何かが起こってしまう。

「舞子さん、僕」
「行ってきな瑛一。シフトは何とかする」

全てを受け止めたかのように力強く、舞子さんは言ってくれた。
ありがと、と言葉を残して僕は走り出す。
行先は分からなかったけど、とにかくAさんを見つけたかった。