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学校には外部からのお客さんもたくさんいて、それもあっていつもよりも人口密度が高い。
しかも、みんな文化祭で格好が派手になっていたりするからますます見つけにくい。
あぁクソ、こんな事になるのならもっと早く行動していれば良かった。
文化祭が終わるまで、とトークには書かれていたから、まだ1日目は大丈夫だろうなんて思っていた。
違かった。
あの二人は険悪な感じだったから、2人でいるなら本当に心配だ。
帆立くんは絶対にAさんを自分の元に戻したいだろうし、もしかしたらAさんも無理をしてしまうかもしれない。
僕がしらみつぶしに教室を覗いて回ると、
「あれ、瑛一。どうしたの」
律だった。1日目にシフトに入っていない律は、普通に文化祭を楽しんでいたのだった。
僕は知っている顔を見ただけで感極まり、律の元に駆け寄った。
隣にいる律の友達はスルーして、律に詰め寄る。
「Aさん見てない!?」
「A…あ、さっき夕凪と裏庭の方向に行くの見たぞ」
「う、裏庭?あそこ何も模擬店とか出てないじゃん…」
「そう、だから印象に残ってるワケ」
最後まで聞かない勢いで、僕はお礼を言って走り出した。
律の声が僕の背中に届いたけど、何を言っているのか聞き取る前に、喧騒に埋もれてしまった。
それが少し心細かったりするけどただ前を向いた。
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作者名:稲穂 佳子 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2019年3月15日 15時