13 ページ14
「ここで瑛一に逃げられたらAはさぞかしがっかりするでしょうね。もしかしたら、瑛一がいた事で帆立くんを拒否してたけど、別れたら二人付き合い始めるかもよ!?こういう時こそ、Aバカのあんたが動く時でしょ…」
強い口調で、でも気持ちがすごく込められた言葉をぶつけられる。
その通りだと思った。
でも、なんでだろう。どうしてこんなにも怖いんだろう。帆立くんに歯向かうのが怖いのかもしれない。
それとも、やっぱりサキュバスだから?君がサキュバスだから怖いのかもしれない。
昨日あれ程まで時間を共にしたけど、いついなくなってもおかしくない儚さのAさん。
Aさんは豪快に笑うけどその瞳はいつも静かだった。
「僕、Aさんが大切だよ」
「うん」
「だから帆立くんに取られたくない。もちろん、自分も傷つけられたくない」
「うん」
「だから」
返事をしてくれる舞子さんを見る。
優しく、微笑んでくれた。
「僕は帆立くんを何とかするよ」
言葉に出して、やっと決意が固まったような気がした。
僕はやっぱりAさんが好きだ。今の時間が一生続いてほしい。
だから何とかしなきゃいけないんだ。
26人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:稲穂 佳子 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2019年3月15日 15時