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「ご馳走様でした」
居間にある広めの机に並べられたご飯を全て食す。
空っぽに近かった私の胃に和食が投入されて行った。
お箸を置き、手をあわせて言葉を並べる。
「お粗末さまです」
私の言葉に優しく微笑みを浮かべながら答えをくれる冬美さんが食器を片し始めるために立ち上がりながら、
「…あと、お父さんさっき仕事に行ってね、帰りは明後日ぐらいになるかもって…」
申し訳なさそうに呟く冬美さん。
その言葉に対して、大丈夫です、と答える。
逆に初日から訓練なんてさせられたらメンタルがやられそうなので願ったり叶ったりである。
明日はゆっくりできそうだと心の奥で安心する。
「Aちゃんも、その歳でその個性と向き合わないといけないとか大変だろ」
なんかあったら、相談乗るから
そう、言葉を投げかけてくれたのは私の前に座っていた冬美さんのもう1人の弟、夏雄さんだった。
逆だった白色のヘアースタイルをしていて1番、まともなのかなと思ってしまった。
この兄弟の中では。
「…そうね。何かあったら言ってね」
事情を知っているのであろう、冬美さんと夏雄さんの言葉に心が暖かくなる。
先程のませた小学生、焦凍くんの言葉に抉られ傷跡が少しだけ癒えていくのを感じる。
なんで、こんな素敵なお姉さんとお兄さんの弟があんな冷えきっているのだろうか、小さな疑問が脳内に駆け巡る。
噂の彼が少し前まで座っていた場所に視線を向けられる。
当の本人は、私より先に食べ終わりさっさとこの居間から去っていったのだ。
「…ああ。焦凍がその、ごめんね。悪い子じゃないの。仲良くしてあげてね」
私の視線に気づき、ばつが悪そうな表情を浮かべる冬美さんの言葉に憎悪を漂わせる視線がリプライされる。
台所から聞こえるその声と洗い物の音が混ざり合う。
「大丈夫です。気にしてません。私も仲良くなりたいので」
仲良くはしたいと思う。
１ヶ月、顔を合わせることになるのだから。
だけど、彼は仲良くしたいだなんて微塵も思ってなさそうな雰囲気を匂わせる。
前途多難な難題に頭が痛くなった。
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砂時計(プロフ) - yuikaさん» コメントありがとうございます。この度はこの作品を見つけて下さり嬉しい限りでございます。そのお言葉を糧に細々と更新をしていこうと思ってますっ、これからも何卒お付き合いのほどお願いします(〃▽〃) (2021年8月19日 20時) (
レス) id: 3e29fdde61 (このIDを非表示/違反報告)
yuika(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！思わず一気に読んでしまいました、、、！これからも頑張ってください！！！ (2020年3月29日 15時) (レス) id: 090e0c37e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：砂時計
| 作成日時：2020年1月21日 1時
